Research Abstract |
スキル学習のひとつであるデッサン学習を支援する学習支援環境を構築するには,描画過程における,(1)認識,(2)認識と行動の対応付け,(3)行動,(4)成果物,の各段階について診断することが必要である.そこで,本年度は,各段階について,以下のように研究を推進した. 1.デッサンの初心者と熟練者の視線分析 デッサン描画時のモチーフの認識は,脳内の認知活動であるので,直接,観察することは難しいが,認識と密接に関連があると思われる視線動向を計測し,分析することにより,ある程度の推察が可能であると思われる.そこで,デッサン初心者と熟練者を被験者として,デッサン描画時の視線の動きを分析し,比較した.その結果,熟練者の方が,初心者に比べて,より短い時間,モチーフを見る頻度が高いことがわかった.これは,熟練者がモチーフのモデルをあらかじめ記憶しており,短い時間の観察で描画が可能であるからだと思われる. 2.デッサン描画時の腕の動作の診断助言システムの設計と試作システムの構築 デッサン時の腕の動かし方は,熟練者によれば,ある程度のコツがある.このコツを手本として,学習者の腕の動かし方を自動診断し,誤りを検出して,アドバイスを提示するシステムの試作システムを構築し,システムの洗練を行った.特に,CGによる腕モデルを,最初,円筒の連結モデルであったものを,実際の腕により近いモデルに改良し,よりリアルなグラフィック表示で,学習者の腕の動きに合わせて表示し,腕の動作を自己診断できるようにした. 3.果物をモチーフとしたデッサン画の診断助言システムの設計 りんごとバナナをモチーフとして,成果物に相当する描き終わったデッサン画を自動診断し,適切な助言を与えるシステムを設計し,試作システムを構築した.
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