Research Abstract |
本研究は競合連想ネットの学習法を実際のデータに即して変形するとともに,下記の3つの課題について追究することが目的であり,本年度は以下のような実績を得た.特に課題(1)においては最新の他の種々の手法と競争した結果,優秀な成績をあげたことにより,本研究の対外的なひとつの評価を得ることができたものと考える. 課題(1)競合連想ネットの逐次学習法の変形とその検討:従来の逐次学習法を変形したバッチ学習法を提案し,既知の非線形関数近似問題へ適用してその性質を検討し,国際会議SCI2004で発表した.さらに以下のコンペティションの課題に適用し,提案手法の有効性を確認した.まず国際会議IJCNN2004で開催された時系列予測コンペティションでは,バッチ学習型競合連想ネットとフーリエ帯域フィルタを組み合わせて適用した結果,投稿受理された24組の手法のなかで第3位の成績を得た.さらに国際会議NIPS2004で開催された予測不確実性コンペティションでは,stereopsis(両眼立体視の非線形データ),gaze(極端な外れ値を含むスクリーン注視に関するデータ),outaouais(高次元でデータ数が多い企業の秘密データ)という性質の異なる3つの実データセットの予測問題に対し,我々はバッチ学習型競合連想ネットとその最適ユニット数をクロスバリデーションによる求める手法を用いて予測し,それぞれのデータセットに対して評価基準MSE(最小二乗誤差)で第1位,第2位,第1位の好成績をあげるとともに,総合で第1位(regression winner)に選ばれた.特に,性質の異なるデータセットすべてに対して同じ手法で好成績を収めたことは,本研究の手法の適用範囲の広さと有効性を示していると考える. 課題(2)非線形時変プラントの制御への応用:従来の逐次学習法を変形した上記のバッチ学習法を,シリコンウエハの標準的な洗浄法であるRCA洗浄における洗浄液の温度制御に適用した.この制御は非線形時変の性質があり,この系のダイナミクスをオンライン学習すると,短時間の過渡期のデータは,より長時間の定常期のデータを学習することにより忘却されるという現象が起こっていた.そこでバッチ学習法により解決を試みた結果,この現象を抑えることができ,この成果を国際会議SCI2004で発表した. 課題(3)音声時系列の解析と認識への応用:音声時系列への応用の基礎研究として,音声信号からより安定した非線形特徴の抽出が行えるバッチ学習法とクロスバリデーションの手法を開発した.
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