Research Abstract |
1.ハードウェアシステムの拡張・改良による実用システムの構築 400ニューロンカオスニューロコンピュータハードウェアシステムを,より安定な動作が得られるように回路に大幅な改良を施した.同時に,全ニューロンの内部状態をアナログ値で観測できるよう観測回路を付加した.このシステムにより,これまで完全な動作が得られていなかった,400ニューロン規模の動的連想記憶,サイズ20の二次割り当て問題の解法,さらには,カオスシミュレーティッドアニーリングよる巡回セールスマン問題の解法を実現した.これらの実験の際,400次元のアナログカオスダイナミクスを観測した.今後は,このダイナミクスを詳細に解析する. 2.大規模カオス結合系のダイナミクスのデータ解析 外部からの入力に対してカオス結合系が示す応答について検討するため,連想記憶カオスニューラルネットワークにおいて空間的にランダムな結合を介して印加される外部入力が記憶の想起に及ぼす影響を調査した.その結果,ポアソン分布的な間隔を持つパルスによる外部入力の場合は,連想記憶ネットワークの既存の記憶の想起の阻害の度合いが入力繊維数によって制御可能であることを示唆する結果が得られた. 3.実用最適化問題への応用 従来より考案している,カオスニューロダイナミクスを用いた組み合わせ最適化技法を,パケットルーティング問題,DNA塩基配列からのモチーフ抽出問題,時間枠制約付き配送計画問題へと適用した.その結果,これらの具体的課題に対しても,カオスダイナミクスに基づく手法が有効であることを大規模な数値実験により明らかにした.さらに,カオスダイナミクスの有効性を,非線形時系列解析の分野で用いられるサロゲートデータ法の概念を応用することで統計的に明らかにした.特に,近年複雑系の典型例として注目されている情報ネットワークに対して,カオス最適化が有効であることが示された.
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