2006 Fiscal Year Annual Research Report
大規模物理カオス結合系による実数コンピューティングの構成論的研究と応用
Project/Area Number |
16300072
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
堀尾 喜彦 東京電機大学, 工学部, 教授 (60199544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 雅春 東京電機大学, 工学部, 教授 (20312035)
池口 徹 埼玉大学, 工学部, 教授 (30222863)
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Keywords | カオス / 実数計算 / アナログ非線形回路 / 組み合わせ最適化問題 / 複雑系 / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
400ニューロン160,000シナプスから成るカオスニューロコンピュータハードウェアシステムによる体系的な実験と観測を行った。特に、このシステムが呈する1,200次元の物理的なアナログカオスダイナミクスの解析に重点を置いた。この際、動的連想記憶と二次割り当て問題の2っの課題を遂行させた。動的連想記憶においては、外部入力により、内部ダイナミクスがどのように影響されるかを実験により調査した。その結果、外部からの空間パターンの種類やその強度により、ネットワークのダイナミクスが鋭敏に反応することが確認された。この際、外部入力の強度とパターンの想起率の間に指数関数的な関係があることを見出した。一方、二次割り当て問題を用いた場合については、内部ダイナミクスと外部とのインタラクションについて実験を行った。まず、ネットワークがそれまでに発見した最良の解を外部入力として与え、その時のシステムの解法能力を測定した。その結果、この様なヒントを与えることで、カオス的な探索能力が向上することがわかった。さらに、ネットワークの内部ダイナミクスを解釈し直して解を構築する方法を改良した。これにより、内部ダイナミクスをある程度裏切って解を構築していく方が良い結果が得られることが判明した。この結果は、内部ダイナミクスの解釈法へと発展するものと期待される。 次に、カオス結合系を所望の軌道に制御することを目指し、強化学習を導入したカオス力学系の制御法の改善を行った。従来法では、カオスの制御を実施する前に行う状態空間の量子化に学習ベクトル量子化手法が用いられていたが、この方法では、制御の前処理の計算コストが膨大であり、更に制御の目標軌道の情報を学習前に与えなければならないなどの問題点があった。そこで本年度は、これらの問題点を解消するカオス力学系の簡易な量子化手法を提案し、この手法を強化学習に利用してカオスの制御を行った。この制御法を代表的な離散時間力学系と連続時間力学系の双方に適用し、少ない計算コストで制御が実現できることを確認した。 さらに,カオスニューロダイナミクスを用いた組み合わせ最適化技法を,動的な最短経路探索問題,パターン抽出問題,最適巡回路決定問題へと応用した.具体的には,各々,コンピュータネットワークにおけるパケット配送問題,DNA塩基配列・タンパク質アミノ酸配列からのモチーフ抽出問題,時間枠制約付き配送計画問題である.大量の数値計算に基づく解析により,これらの問題に対するカオス探索技法の有効性を明らかにした.また,探索技法の要である,カオスニューロンの不応性効果を解析するために,非線形時系列解析の分野で用いられるサロゲートデータ法を拡張した手法をまず提案し,それを用いてどのような特徴が探索に有効であるかを明らかにした.さらに,よりよい探索効率を実現するため,カオスニューロンの発火履歴に対する解析を行っている.
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Research Products
(29 results)