2006 Fiscal Year Annual Research Report
基礎研究振興における科学研究費の役割に関する実証的研究
Project/Area Number |
16300081
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
根岸 正光 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (90114602)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 浩康 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50023081)
前田 正史 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70143386)
光田 好孝 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20212235)
柴山 盛生 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 助教授 (70170909)
西澤 正己 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 助教授 (00281585)
|
Keywords | 科学研究費補助金 / 研究資金 / 研究評価 / 研究振興 / ビブリオメトリックス / 定量的分析 / アンケート調査 |
Research Abstract |
近年、研究評価の浸透と共に研究資金の配分における重点化の傾向が一層強まりつつある。その一方で、ノーベル賞受賞者等から、基礎研究の重要性と、その資金調達の困難化による基礎研究の将来に対する危惧が表明されている。科研費等の基礎的資金と、実用化された革新的技術や成功を収めた画期的研究等との関係を明らかにし、資金配分の重点化が、今後の科学技術の発展にとって真に有効な手段であるのかどうかを定量的、実証的に検証することは重要である。 本年度は前年度に行った著名科学者や特別推進研究(COE)の代表者に続いて、1995年から2004年までの日本学士院賞、紫綬褒章等の受賞・受章者のうち70歳以下(2005年現在)の者168名を対象として分析をおこなった。これらの対象者の内、1965-2005年度の科研費採択課題データベースから採択課題が抽出できた153名に対して、学問分野ごとに採択時の各年齢の平均科研費獲得金額を算出し、各年齢段階における科研費の獲得パターンを分析した。これら著名な研究者においては、学問分野により研究費の金額に差異はあるものの、研究キャリアの2ndステージにおいて小額の研究費を獲得して独り立ちし、3rdステージにおいては更に高額の研究費を獲得して研究を発展させ、4thステージにおいては60歳位までは研究活力が維持されることが分かった。また、学問分野間に、特に人文社会科学と自然科学の間に、使用する研究費の額の隔たりが大きく存在することが分かった。 その他に、文部科学省科研費に対する研究者側からの意見、要望を直接調査するために、2005年度科研費採択者と主要学術賞受賞者に対するアンケート調査を、(財)松尾学術振興財団と共同して2006年3月に実施し、873名から回答を得た。結果の概要は既に公表したが[研究成果7]、2006年度も引き続き結果の分析検討を進め、科研費に対する政策提言をまとめつつある。総じて科研費による基礎研究に対する支援の充実、デュアルサポート・システムの維持継続の要望が強いこと等が明らかになっている。 また、昨年度と同様に2005年度の科研費採択課題数より大学等研究機関の研究活性度を調べ、結果等をNIIテクニカルレポート等で公表をおこなっている。
|
Research Products
(8 results)