2006 Fiscal Year Annual Research Report
極限状態下微小生物の遺伝的変異と適応進化の階層モデルおよび解析手法の開発
Project/Area Number |
16300086
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
岸野 洋久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00141987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 泰健 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特任助手 (60401189)
北添 康弘 高知大学, 医学部医学情報センター, 教授 (90112010)
渡部 輝明 高知大学, 医学部医学情報センター, 助教 (90325415)
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Keywords | ウイルス分子進化 / 宿主適応 / 配列進化と構造進化 / 集団構造と履歴 / ゲノムの組換え / 階層ベイズ / 収斂進化 |
Research Abstract |
本プロジェクトでは、強い淘汰圧を受けたウイルス、バクテリア、微小昆虫などの微小生物が、迅速に環境に適応している様相を、統計遺伝学のモデリングを駆使して検出する方法を開発した。前年度では、PDBに登録されたタンパク質のデータから、アミノ酸配列の立体構造への適応度を経験尤度の形で定義した。これを下に、宿主に感染したHIV-1のV3ループが潜伏期間に構造進化すること、淘汰圧が強いほど構造変化が起きることを観察した。 本年度はこれを発展させ、複合体をつくるタンパク質の配列データから結合能の評価する指標を開発した。それは結合状態におけるアミノ酸配列の尤度と自由状態における尤度を比較した対数尤度比で表現される。これを抗原・抗体の結合に適用し、インフルエンザHAの1968年における大流行以降の長期的な免疫適応を推測した。さらに、ウイルスゲノムの組換えは多様度を格段に高めることから、集団の適応において重要な役割を担うと信じられている。組換えは、ゲノムの領域間での系統樹の形(トポロジー)の食い違いとして検出されるが、自然集団における組換えを推定する実用的なプログラムは存在しない。そこで本プロジェクトでは、組換えによる系統関係の食違いを反映する、トポロジー間の距離を計算するアルゴリズムを新規に開発した。そして、隣接領域間の組換え距離に事前分布を導入する階層ベイズモデルを構築した。この方法により、組換えの位置とパターンを同時推定することが可能となった。シミュレーションと南米のHIV-1集団の解析から、この方法の有効性が確かめられた。統計モデルの開発とともに、モデルの妥当性の評価を行う手法の開発に力を注いだ。 本年度は最終年度となるため、成果の公表に務めた。次ページに挙げた論文の他に、現在5本の論文が査読中である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Core set approach to reduce uncertainty of gene trees.2006
Author(s)
Okabayashi, T., Kitazoe, Y., Kishino, H., Watabe, T., Nakajima, N., Okuhara, Y., O'Loughlin, S., Walton,C.
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Journal Title
BMC Evolutionary Biology 6:41.
Pages: 1-17
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[Journal Article] Positive selection acting on a surface membrane protein of the plant-pathogenic phytoplasmas.2006
Author(s)
Kakizawa, S., Oshima, K., Jung, H-Y., Suzuki, S., Nishigawa, H., Arashida, R., Miyata, S., Ugaki, M., Kishino, H., Namba,S.
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Journal Title
Journal of Bacteriology 188
Pages: 3424-3428
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