2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工味細胞ネットワーク・ハードウエアの開発と味情報処理機構解明への応用
Project/Area Number |
16300094
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉井 清哲 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30125364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神酒 勤 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教授 (20231607)
立野 勝巳 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教授 (00346868)
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Keywords | 味蕾細胞ネットワーク / マウス / 細胞内Ca濃度 / センサネットワーク / 積分発火型モデル / Noise-Induced Synchronization / アクロスファイバーパターン / パーセプトロン |
Research Abstract |
マウス舌の前方に分布する味蕾細胞から得た神経生理学的結果をヒントに味蕾細胞間相互作用に関するモデルを作成し、味覚センサを作成した。味蕾細胞は、味物質受容細胞であるII型細胞、味情報出力細胞であるIII型細胞、これらの機能を補佐するI型細胞に分類されている。細胞内Ca濃度変化、mRNAの発現、免疫染色性を指標とし、味蕾細胞間情報伝達を調べた。この結果、一部の味蕾細胞がムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプ、M3、を発現していること、一部の味蕾細胞がアセチルコリンをシナプス小胞に濃縮する酵素を発現していること、また、味蕾細胞のCa濃度を強制的に上昇させると、近傍味蕾細胞のCa濃度も情報すること、を発見した。これらの結果から、味蕾細胞は、ネットワークを形成していると結論した。 味質の濃度を検出するため、II型細胞-III型細胞間相互作用を数理モデルで表した化学センサネットワークモデルを提案した。II型細胞に積分発火型モデル、III型細胞にバースト放電モデルを適用したこのセンサネットワークは、Noise-Induced Synchronizationの原理を応用して、味物質濃度を神経活動の同期として符号化することが可能であることを示した。 味質を識別するために、味神経応答パターン(アクロスファイバーパターン)を模倣した出力を出すセンサネットワークをセンサアレイとパーセプトロンにより構築した。味物質受容体モデルとしては脂質膜を用い、4基本味(甘味、塩味、苦味、酸味)に応答するセンサを試作し、これらを複数個用いてセンサアレイを構成した。試験用味溶液に対し学習させたセンサネットワークで、上述の基本味質の判別ができることを確認した。信号処理系のハードウエア化の検討を行った。センサ部の耐久性を改善することで、より安定なセンサネットワークを開発できることがわかった。
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