2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知大学, 医学部, 教授 (50136371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 文乃 高知大学, 医学部, 助教授 (10194490)
村本 和世 高知大学, 医学部, 助手 (10301798)
谷口 睦男 高知大学, 医学部, 助手 (10304677)
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Keywords | 記憶の永続性 / 記憶の消去 / 匂い嫌悪学習 / 主嗅球 / プロテインフォスフォスファターゼ |
Research Abstract |
「できたて」の記憶は不安定で影響を受けやすいが、固定化されると安定な長期記憶となる。それでは長期記憶の永続性は、様々な細胞内情報分子が代謝回転している中でどのように保証されるのであろうか?最近、固定化された記憶も想起の時にいったん不安定状態に戻り、再び固定化(再固定化)されるとの知見が報じられている。それでは、記憶の固定化と再固定化の分子メカニズムは同じなのか、あるいは異なるのか?一方、固定化された記憶がすべて有用とは限らないので、脳には無用な記憶が重荷にならないようにする機構が必要である。音と電撃とを組み合わせた恐怖条件づけ反応は、その後音と電撃とを組み合わせず繰り返し与えると次第に弱まっていく。パブロフ以来、この記憶の減衰(消去)は新たな記憶の形成であると考えられている。記憶の消去と再固定化は概念的に異なるが両者の分子メカニズムについてはどうなのか?本研究では、申請者らが解析してきた匂いの記憶学習系を用いて、記憶痕跡の動的変化の分子メカニズムを明らかにするために下記の解析を行った。 新生仔における匂いの嫌悪学習の成立にMAPKによるCREBのリン酸化が関わることを明らかにしている。一方、プロテインフォスファターゼ1(PP1)はCREBを脱リン酸化し、記憶の消去に関わることが知られている。そこで今回、匂いの嫌悪学習の永続性におけるPP1の選択的阻害薬であるinhibitor-2の嗅球への注入の影響を検討した。匂いと電撃の対提示トレーニング後にinhibitor-2を嗅球へ注入すると、記憶の持続時間が有意に延長することを認めた。これらの結果は、匂いの嫌悪学習の消去にPP1が関わることを示唆する。
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Research Products
(4 results)