2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300100
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知大学, 医学部, 教授 (50136371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 文乃 高知大学, 医学部, 助教授 (10194490)
村本 和世 高知大学, 医学部, 助手 (10301798)
谷口 睦男 高知大学, 医学部, 助手 (10304677)
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Keywords | フェロモン記憶 / 副嗅球 / 偽妊娠 / プロゲステロン受容体 / 記憶の想起 / 匂い学習 / 主嗅球 / beta受容体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らが解析してきた匂いの記憶学習系を用いて、記憶痕跡の動的変化の分子メカニズムを明らかにすることであった。 交尾刺激を引き金として雌マウスに形成される交配雄フェロモンの記憶は、副嗅球に蓄えられ、妊娠の維持に重要な役割を演じている。交尾刺激はまた、視索前野や視床下部腹内側核のプロゲステロン受容体を活性化して偽妊娠を誘導する。偽妊娠はプロラクチンの夜と昼のサージをもたらす記憶によって維持されている。偽妊娠にかかわる記憶の実体については不明な点が多い。そこで、記憶を形成する交尾時にプロゲステロン受容体アンタゴニスト(RU486)を脳室に投与して偽妊娠記憶が阻害されるか否か検討した。交配雄フェロモンへの再曝露(記憶の想起)を行わない場合、RU486の投与は偽妊娠阻止を引き起こした。交配雄フェロモンへの再曝露を行うと、RU486の偽妊娠阻止率が有意に低下した。これらの結果から、RU486の脳室内投与は偽妊娠記憶の形成を阻害しないこと、RU486自体、偽妊娠阻止を誘起すること、交配雄フェロモンの記憶を想起することによってRU486の偽妊娠阻止作用が妨げられることが示唆された。 幼若ラットにおける匂いと電撃の対提示による匂いの嫌悪学習は嗅球内にbeta受容体アンタゴニストを投与することによって阻害された。匂いとbeta受容体アゴニストの嗅球内投与のペアリングを行うと、その匂いに対して嗜好反応かあるいは嫌悪反応が惹起された。これらの結果から、ノルアドレナリンは学習を成立させるが、嗜好か嫌悪かの決定には他の因子がかかわることが示唆された。
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Research Products
(6 results)