2004 Fiscal Year Annual Research Report
行動の組織化に関与する大脳皮質-大脳基底核連関の構造基盤の解明
Project/Area Number |
16300106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
高田 昌彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00236233)
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Keywords | 大脳皮質 / 運動領野 / 前頭前野 / 大脳基底核 / 運動制御 / 行動発現 / 狂犬病ウイルス / サル |
Research Abstract |
前頭葉に分布する運動領野や前頭前野は、大脳基底核との間で大脳皮質-大脳基底核ループを形成しており、このようなループ回路は運動制御だけでなく運動学習や認知行動のさまざまな局面に深く関与している。本研究では、神経解剖学的及び分子生物学的手法を用いて、行動の組織化に関与する大脳皮質-大脳基底核連関の構造基盤を解明することを目的とした。平成16年度は主として、ニューロンに高い親和性を持ち、逆行性かつ越シナプス性に感染する狂犬病ウイルスを用いて、従来の単シナプス性ラベルでは困難であった多シナプス性神経回路の選択的可視化を行うことにより、大脳皮質-大脳基底核ループの全体像を明らかにするとともに、運動領野や前頭前野に投射する多シナプス性皮質入力及び小脳入力の枠組みを解析した。具体的には、電気生理学的に同定した一次運動野の上肢領域や下肢領域に狂犬病ウイルスを注入し、注入後の生存期間を変化させることにより、逆行性にラベルされるニューロンの分布が大脳基底核、小脳、及び大脳皮質でどのように推移するかを詳細に検討した。その結果、ウイルス注入後3日の生存期間で視床を介した二次ニューロンの越シナプス性ラベルが淡蒼球や小脳核に多数みとめられ、3日半の生存期間で三次ニューロンとして線条体投射細胞や小脳皮質プルキンエ細胞が、さらに、4日の生存期間ではさまざまな領域で四次ニューロンのラベルがみとめられた。同様の所見は大脳皮質においても得られ、前頭葉ではより長い生存期間で、前補足運動野や帯状皮質運動野吻側部などの高次運動野を含む運動領野に加えて、さまざまな前頭前野領域がラベルされ、特に前頭前野背外側部では、下肢領域に比べて上肢領域が優位に再現されていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)