2004 Fiscal Year Annual Research Report
新理論の確立に基づくミエリン形成の分子機構解明と難治性神経疾患の治療戦略
Project/Area Number |
16300124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
阿相 皓晃 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 副参事研究員 (30104160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清和 千佳 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 研究員(客員)
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Keywords | ミエリン形成の分子機構 / 免疫ブロブリンFc受容体 / ミエリン塩基性タンパク / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / ミエリン新生 / 脱髄 / 再ミエリン化 / 脳内リガンド |
Research Abstract |
脳発達に伴うミエリン形成はミエリンの新生に始まり成人脳では脱髄と再ミエリン化(再生)のくり返しが生涯続く。ミエリン形成の分子機構はこれまで謎に包まれていたが、本研究の中でミエリン形成のトリガーとなる新たな分子を探り当て、その分子が免疫グロブリンFc受容体であることを明らかにした。すなわちオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)にIgG-Fc受容体が発現していることを見い出し、OPCをIgG複合体で刺激するとFynチロシンキナーゼが活性化され、OPCの形態変化を伴った分化が起こり同時にMBPの発現(特にexon2-containg MBP)が著明に増加することを明らかにした。さらに、IgG-Fc受容体のシグナル伝達はFc受容体共通γサブユニット(FcRγ)とFynとの会合によって行われていることも明らかになり、FcRγとFynを欠損させたダブルミュータントマウス由来のOPCをIgG複合体で刺激してもまったく反応しないだけでなく、このミュータントマウスではミエリン形成に重要な障害があることも判明し、IgG-Fc受容体がミエリン形成の生理的なトリガーであることが示された。一方、脳内でIgG-Fc受容体の架橋刺激に加わる生理的なリガンドについては不明であったが、本研究を進めていく中で、生理的なリガンドとしてミエリン膜の構成成分の一つであるミエリン塩基性タンパク(MBP)がその有力な候補になっていることを示す結果が得られた。IgGは免疫グロブリンの中で唯一胎盤を通過することが知られており、このIgGはミエリン膜と結合することが判明し、特にミエリン膜成分のMBPと結合する能力があることがわかった。現在、IgG-Fc受容体の架橋刺激に加わるMBPがどのようしてミエリン膜から出てくるのか、そのメカニズム解明に取り組んでいる。
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Research Products
(5 results)