2005 Fiscal Year Annual Research Report
新理論の確立に基づくミエリン形成の分子機構解明と難治性神経疾患の治療戦略
Project/Area Number |
16300124
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Foundation for Research on Aging and Promotion of Human Welfare |
Principal Investigator |
阿相 皓晃 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究副部長 (30104160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清和 千佳 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (60399459)
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Keywords | ミエリン形成の分子機構 / 免疫グロブリンFc受容体 / Fynチロシンキナーゼ / 脱髄 / 再ミエリン化 / ミエリン塩基性タンパク / リモデリング機構 |
Research Abstract |
脳発達に伴うミエリン形成は初期のミエリン新生にはじまり、成熟とともに脱髄と再ミエリン化を繰り返し行うことによってミエリンの機能を一生維持することができる。ミエリンに関してはまだ謎が多いが、本研究の中で免疫グロブリンFc受容体とFynチロシンキナーゼがミエリン形成のトリガーであることを明らかにした。これらのトリガー分子はカプリゾンによる脱髄時(投与5週目)にはミエリン膜中で発現が消失し、再ミエリン化(脱カプリゾン後2週目)の時には正常レベルに戻ることが判明し、脱髄と再ミエリン化を繰り返しながら機能的なミエリンを保つ「リモデリング機構」に密接に関わっていることが示唆された。さらに、カプリゾンによる脱髄とその後の脱カプリゾンによる再ミエリン化におけるミエリンの様子を免疫組織染色や電子顕微鏡によって解析した結果、野生型マウス脳では脱髄時にミエリンが部分的に異常に膨らむ現象などのいくつかの顕著な脱髄像がみられ、再ミエリン化時には正常に戻ることがわかった。しかし、FcR/Fyn欠損マウスでは脱髄時も再ミエリン化時にも変化が見られなかった。FcR/Fynの下流で脱髄/再ミエリン化に関与する分子をミエリンを抽出して生化学的に調べた結果、低分子G蛋白質が分子スイッチとして働いており、最終標的タンパクがミエリン塩基性タンパク(MBP)であることがわかった。MBPは生理的条件下ではリン酸化フォームで存在しているが、脱髄時およびFcR/Fyn欠損マウスでは脱リン酸化型の発現が増加することがわかり、さらにMBPのなかでも特に21.5kDaのアイソフォームが再ミエリン化のシグナル分子として働いていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)