2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300129
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50111373)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 義輝 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50184908)
|
Keywords | 眼振 / 緩徐相 / 急速相 / GABA / グリシン / 抑制遮断 / 前庭神経核 / 小脳 |
Research Abstract |
片側迷路を破壊すると、左右の前庭神経核のニューロン活動の均衡が破れ、強い眼振が出現する。しかし左右の均衡は次第に回復し、眼振の頻度も急速に減少して数日後には消失する。この代償性変化は神経損傷後の機能回復のモデルとして関心を集め、前庭系の学習と可塑的調節を担う小脳からの抑制、左右前庭神経核の相互作用を担う交連抑制の関与が示唆されている。本研究は、これらの抑制入力が眼振の発現に関与するニューロン群の活動にどのように寄与し、また代償の過程でどのように変化するかを明らかにすることを目的とする。本年度は、緩徐相に係る前庭神経核ニューロンと急速相に係る網様体ニューロンを対象とし、正常状態における抑制入力の寄与を解析した。覚醒ネコの前庭神経核と網様体からマルチバレル電極を用いてニューロン活動を記録し、GABA受容体阻害薬(ビククリン)およびグリシン受容体の阻害薬(ストリキニン)を電気泳動的に投与しその効果を調べた。半規管入力を受けるI型二次ニューロンの多くは、ビククリン投与により自発活動の増加を示し、持続的なGABA性抑制を受けることが示された。また、頭部回転刺激に対する応答のゲインが有為に増加したことから、この抑制が前庭情報をコードし、小脳を介することが示唆された。眼振時の発火パタンにより網様体のバーストニューロンとポーズニューロンをそれぞれ同定し、抑制入力を同様に解析した。ストリキニン投与後、バーストニューロンに持続的な自発活動と緩徐相にける活動が出現し、急速相のバースト応答が増強、遷延した。このグリシン性抑制は緩徐相と急速相の切り替えに重要な役割を果たすことが示唆された。一方、ポーズニューロンは急速相に一致してグリシン抑制を受け、注視期にはGABA抑制を受けることが明らかにされた。グリシン受容体を介する抑制は急速相の発現に重要な役割を果たすことが示唆された。
|
Research Products
(6 results)