2004 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞核の細胞周期に応じたクローンラット作製方法の開発
Project/Area Number |
16300139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
平林 真澄 生理学研究所, 脳機能計測センター, 助教授 (20353435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保池 眞一 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10283243)
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Keywords | クローンラット / 核移殖 / 自発的活性化 / 早期染色体凝集 |
Research Abstract |
1.M期同期化法の再現性の検証: Qi Zhouら(2003)が世界で初めて成功したという体細胞クローンラット作製の原著に可能な限り忠実に従い、クローンラットが作製できるかどうかを調べた。ドナー細胞には胎齢12.5日目DAラット由来の線維芽細胞を用い、核移植に先だってデメコルシン処理することでその細胞周期をM期に同調させた。レシピエント卵子は過剰排卵誘起した幼若SD雌ラットから採取し、核注入およびMII期核板の除去を1回の顕微操作のなかで連続して行った。計313個の再構築卵をブチルラクトン処理によって活性化誘起したところ、2細胞期に分割したのは175個(56%)のみで、それ以降の体外発育例は得られなかった。67個の2細胞期胚を含む計166個の再構築胚をWistar系偽妊娠雌ラット3匹に移植したが、21日後の帝王切開で生存胎仔はおろか着床痕すら確認できなかった。以上、M期体細胞核の全能性をQi Zhouらの手法によって証明するには至らなかった。 2.自発的活性化の抑制とドナー核の活性化: クローンマウスの作製法として再現性のあるホノルル法では顕微注入した体細胞ドナー核に早期染色体凝集(PCC)が誘起されるが、ラットに同法を適用してもPCCはほとんど起こらない。そこで染色体凝集に重要な役割を果たす卵成熟促進因子(P34^<cdc2> kinase)のラット卵子内での動態を調べたところ、除核した卵子ではp34^<cdc2> kinase活性が著しく低下し、まったくPCCが誘起されなくなることがわかった。またプロテアソーム抑制剤MG-132で処理するとp34^<cdc2> kinaseの急激な低下は抑制され、未処理区と比較して顕微注入核のPCC誘起率を有意に高められた。以上、ホノルル法によってラット核移植を成功させるためにはp34^<cdc2> kinase活性を高く維持する化学物質処理が必須であると示唆された。
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Research Products
(4 results)