2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質蓄積症モデルマウスを用いた神経変性疾患の発症機序の解明
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16300141
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
松田 潤一郎 独立行政法人医薬基盤研究所, 生物資源研究部, 研究リーダー (60181731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 治 独立行政法人医薬基盤研究所, 生物資源研究部, 主任研究員 (70235935)
滝本 一広 国立感染症研究所, 動物管理室, 研究員 (70280766)
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Keywords | 糖脂質 / ガングリオシドーシス / β-ガラクトシダーゼ / リソゾーム病 / 疾患モデル / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 糖鎖遺伝子 |
Research Abstract |
シアル酸を含む酸性スフィンゴ糖脂質であるガングリオシドは、細胞膜成分として生物学的に重要な役割を果たしている。一方、糖脂質の分解不全によって、多くのリソゾーム性糖脂質蓄積症が知られており、なかでもGM1ガングリオシドーシスは典型例であり、酸性β-ガラクトシダーゼ(β-Gal)欠損によりガングリオシドGM1が蓄積する神経変性疾患である。私たちはすでにβ-Galノックアウト(KO)マウス、ヒト変異β-Gal遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウス、さらにGM1合成酵素遺伝子導入Tgマウスなどのモデルマウスを作製している。本研究では、各種GM1ガングリオシドーシスモデルマウスの病態解析と、神経変性の発症機序解明を目指した。β-Gal KOマウスへGM1合成酵素遺伝子を導入したKO/GM1SyTgマウス(#129)の脂質解析を行ったところ、脳ではKOマウスに比べガングリオシドGM1蓄積の絶対量の増加は認められないが、ガングリオシド中のGM1の比率がやや増大していた(70%->79%)。肝臓ではGM1の蓄積もみられるが、アシアロGM1の蓄積が顕著であった。一方、KO/GM1SyTgマウス3ラインの寿命と神経症状は、KOマウスと比べて顕著な差異は認められなかった。GM1ガングリオシドーシスの神経変性機構の解明のため、β-Gal KOマウス8日齢の脳を用いた解析を行ったところ、神経栄養因子受容体であるTrk受容体のリン酸化がKOマウス大脳、中脳、小脳において著しく低下しており、KOマウス脳ではTrk受容体に結合しているGM1の量が著しく減少していた。さらに、Trk受容体下流のPLCγを介したカルシウムシグナル経路も低下していた。神経細胞の生存・維持に重要である神経栄養因子受容体シグナルの異常がGM1ガングリオシドーシスにおける神経変性を導いている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)