2005 Fiscal Year Annual Research Report
HAP結晶のX線回折波形特性を利用した生体内骨組織応力検出法
Project/Area Number |
16300143
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但野 茂 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50175444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40142202)
白土 博樹 北海道大学病院, 助教授 (20187537)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨構造 / 回折X線 / 応力測定 / X線イメージングプレート / 回折波形形態法 / HAp結晶ひずみ / 骨組織応力 |
Research Abstract |
支持骨格系の骨組織は、日常的に力学的環境に曝され、常に内部応力が生じている。それには、運動等の外部負荷による繰返し応力や動的応力、重力下による静的応力、さらには骨組織リモデリングのための残留応力等が考えられる。これらの応力を非侵襲に測定できれば、骨組織応力応答の生理学的機能解明につながり、骨折等の骨疾患の診断や治療に対する貴重な情報となる。本研究は、生体骨組織内ハイドロキシアパタイト(HAp)が結晶構造を呈することから、HApのX線回折波形特性を利用して、生体内骨組織応力を非侵襲に測定する原理および手法の提案を目的とする。 3年計画のうち、2年目に当たる今年度は、以下の項目を実施した。 1)X線回折プロファイル形態法によるひずみ測定:骨組織内HApは結晶性が低いため、回折強度が低く、回折波形がなだらかな形状となる。そのためピーク位置を特定できず、従来方式で処理すると測定値に大きな誤差を含む。そこで、回折波形の全体形状からひずみを計算する手法を開発した。これによって測定精度が大幅に向上した。 2)結晶化度依存型異方性構成式:X線回折で測定されたHAp結晶格子ひずみから骨組織の連続体応力を算出する手法を検討した。これには結晶性の程度を分散係数を用いた結晶化度で表し、HAp-Col構造をミクロスケールでFEMモデル化した。そしてHApとColの配置、体積比、各弾性率をパラメータとし、マクロ変形とHAp結晶ひずみの関係を求めた。 3)HAp結晶ひずみ測定精度とX線照射量:HAp結晶ひずみの測定は、X線照射量が多量なほど測定精度は向上する。臨床応用を考えるとX線照射量は少ないほど良い。そのため、測定精度と照射量の関係を調べた。 4)変形中の骨組織成分挙動と結晶化度依存異方性構成式:引張負荷中における骨組織HAp-Col複合体のマクロ変形とHAp結晶のミクロひずみを同時に測定した。これは、X線照射中に微小引張試験を行った。そして、結晶化度依存異方性構成式の材料パラメータとの対応を検討した。 5)表層面応力成分算出のためのX線条件:骨組織の表層面の三軸応力成分を算出するためには、同一測定点につき最低三方向の照射が必要となる。最適な入射数と入射角を決定した。
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Research Products
(4 results)