2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の分化を制御するマイクロ流体システムの構築
Project/Area Number |
16300158
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (80270883)
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Keywords | マイクロシステム / マイクロ流体デバイス / ナノホール / マイクロバルブ / 神経細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
細胞培養チャンバ、神経成長因子放出用ナノホール・アレイ、及びマイクロバルブを極近傍にシステム化したマイクロ流体デバイスに関して、構造の改良と製作法の改善を行った。まず、流路表面を疎水化するアモルファスフッ素樹脂のパターニングは再現性と安定性が悪くデバイス製作の歩留まりの低下をもたらす主原因であったため、流路中に金薄膜を形成後この金薄膜面上に疎水性の自己組織化単分子膜である1-オクタデカンチオール膜を形成することとした。次に、バルブの開閉の際に液体がエアベント用流路内に流入し残留することによりバルブの連続開閉が不安定になる問題点があったため、エアベント用流路を幅10μm程度の細い2本の流路から成る形状に変更することによりこれを解決した。これらの改善により、培地を用いた場合のバルブの連続開閉が可能となった。 次に、培地を用いてバルブを連続開閉した場合の特性を評価した。まず、バルブの開閉周波数とバルブを開く際に必要な印加圧力との関係を明らかにし、より速い周波数でバルブを開閉するにはより大きな圧力が必要であることが分かった。次に、周波数1Hzで連続開閉した場合のバルブの耐久性を調べたところ、12時間程度(開閉4万回以上)までは問題なく動作することを確認したが、バルブの開閉に必要な圧力が時間とともに増加することが分かった。 さらに、製作したデバイス上にPC12細胞(ラット副腎髄質褐色細胞種)を培養し、バルブ開閉によりナノホールからの神経成長因子の放出量を変えながら、分化誘導実験を行った。15分毎あるいは30分毎にバルブ開閉を繰り返し、細胞の面積変化を観察した。15分毎でバルブ開閉を繰り返した場合には4.5時間後から細胞の分化が見られたが、30分毎でのバルブ開閉では細胞分化が見られなかった。この結果から、バルブ開閉による神経成長因子放出制御が細胞の分化に影響を与えうることが分かった。
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Research Products
(2 results)