2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の分化を制御するマイクロ流体システムの構築
Project/Area Number |
16300158
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教授 (80270883)
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Keywords | マイクロシステム / マイクロ流体デバイス / ナノホール / マイクロバルブ / 神経細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
シリコン基板上に細胞培養チャンバ、神経成長因子放出用ナノホール・アレイ、マイクロバルブなどを極近傍にシステム化したマイクロ流体デバイスを用いて、マイクロバルブの開閉によるナノホールを通じた化学物質放出の制御性を評価するために、蛍光色素をナノホールから放出制御し、ナノホール・アレイの中心から20μm離れた20μm角の領域の蛍光強度の変化を計測した。その結果、放出物質の濃度が所望の値に達するまでバルブを開状態にした後に、その濃度に応じて最適のDuty比(バルブ開閉周期におけるバルブ開時間の割合)を選択しバルブを1Hzで連続開閉することにより、濃度を一定に保つことができることが分かった。また、このようなバルブ開閉制御を行うことにより、ナノホール周辺に時間的に変化しない濃度勾配を形成し得ることを確認した。 次に、デバイス上に神経細胞様に分化するPC12細胞(ラット副腎髄質褐色細胞種)を培養し、バルブ開閉制御によりナノホールからの神経成長因子の放出量を変えながら、分化誘導実験を行った。バルブの開閉周期を1Hzに固定し、開閉Duty比を様々な値に変更することにより、細胞分化への影響を調べた。その結果、ナノホール・アレイから120μm離れた場所に配置した細胞に対しては、Duty比を0.6とすると約2時間後には細胞が扁平・肥大化し分化を始め軸索を伸長させるが、Duty比を0.5とすると分化が起こらないことが分かった。また、ナノホール・アレイからの細胞の位置によっても、細胞分化の様子が大きな影響を受けることを確認した。
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Research Products
(2 results)