Research Abstract |
○高速度顕微観察システムの空間・時間分解能の改良(継続) 昨年度に引き続き,本研究補助金で購入した微弱光増幅装置の性能確認を行った.その結果,光増幅装置の機能の一部(最高フレームレートにおける光増幅率)に不十分な点があったことから,その改善を行った.また,照明用アーク放電型光源の集光光学系について検討を開始した. ○微小気泡のふるまいの観察 入手した7種類の超音波造影剤のうち4種類(シェル材質としては3種類:パルミチン酸,アルブミン,リン脂質)について,音圧が徐々に増加するパルス列を加えて気泡のふるまいの変化を調べた.その結果,リン脂質のシェルを持つ気泡では,低い音圧から音圧に応じた径変化生じるのに対し,バルミチン酸やアルブミンのシェルを持つ気泡では,ある音圧を超えて初めて振動を開始する閾値的な特性があることを確認した. ○減衰係数の高精度計測 昨年度開発した高精度減衰係数計測システムを用いて,上記検討でシェルの特性に違いが見られた超音波造影剤2種類(シェル材質:パルミチン酸,リン脂質)の音圧依存性減衰を測定した.その結果,両気泡とも音圧の増加に伴い減衰係数が増加する傾向が見られたが,振動開始に音圧閾値があったパルミチン酸気泡では,減衰が増加し始める音圧にも閾値が存在することが確認され,気泡のシェルの違いを減衰特性の違いとして計測できることを確認した. ○細胞と気泡の相互作用の観察 高速度撮影システムの高感度化により,従来不可能であった位相差観察が可能となる.その有用性を確認するために,細胞と気泡の相互作用の高速度撮影を行った.画像のコントラストが改善された結果,気泡のふるまいにより細胞に生じる微細な変化が捉えることが可能となり,気泡のふるまいの機械的な作用が細胞に損傷を与えることが示された.
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