Research Abstract |
○高速度顕微観察システムの空間・時間分解能の改良 購入したイメージインテンシファイヤの利用や照明光学系の改良に関する検討を行った結果,最終的に観察視野の光量を10倍弱増強することができた.これにより,これまでと同倍率の観察では最大撮影速度が4倍向上し,最大毎秒1600万コマでの撮影が可能になった. ○微小気泡のふるまいの観察 改良した高速度観察システムを用いて,これまでに入手した7種類の超音波造影剤と1種類のサブミクロン気泡の高速度観察を行った.その結果,シェルの柔軟性が高く,低い音圧から音圧に応じて膨張・収縮する気泡と,ある音圧閾値を越えて初めて動き始める気泡の2種類に大きく分類されることが示され,その分類は臨床経験を基に推定されたものと良く一致した. ○減衰特性測定装置の高精度化 以前開発した気泡懸濁液の減衰特性測定装置の精度と安定性の向上を目的として,計測の自動化を進めた.その結果,ほとんど人手を使わずに,6段階の音圧における減衰の周波数特性を数分のうちに取得できるようになった. ○気泡懸濁液の減衰特性測定 上記の計測装置を用いて,8種類の微小気泡懸濁液の音圧依存性減衰を測定した.その結果,それぞれの気泡の減衰特性には特徴ある音圧依存性が確認され,本測定結果から微小気泡の物理的特性の推定が可能と考えられた.また,高速度撮影において振動開始に音圧閾値が見られた気泡では,これを裏付ける減衰特性が得られたことから,減衰特性から気泡ダイナミクスを推定することの有用性が確認された. 減衰が最大となる周波数は,測定パルスの周波数特性(中心周波数10MHz)の影響を受けて気泡径で決まる共振周波数よりも高くなるが,音圧によって変化する様子も観察された.この周波数と実際の気泡振動周波数の関連について,今後さらに検討を行なっていく.
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