2004 Fiscal Year Annual Research Report
超音波と微少気泡エネルギーを用いた新しい抗癌戦略:抗腫瘍効果の分子基盤解析
Project/Area Number |
16300173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小井戸 一光 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90153460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10235153)
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10173098)
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Keywords | 集束超音波 / アポトーシス / カスペース活性 |
Research Abstract |
平成16年度の研究内容として、KDH-8肝癌を有するラットの集束超音波照射群と非照射群の生存率の対比と細胞死形態の評価としてアポトーシス関与の検討をおこなった。 その結果、以下の点が明らかとなった。1.病理学的検討30W×1.0秒以上のエネルギーでは病理組織学的に腫瘍の壊死、変性と腫瘍血管の断裂・閉塞が観察された。TUNEL染色においては10W×0.5秒および10W×1.0秒でアポトーシス細胞の発現が非照射群より増加しており,20W×1.0秒,30W×1.0秒では有意に低下していた(P<0.05)。2.局所効果・生存率30W×1.0秒以上の照射エネルギー条件では全て腫瘍は消失した。照射群と非照射群の生存率は有意に照射群の生存率が良好だった(P<0.05)。3.アポトーシスの発現Hoechst33258染色において30W×1.0秒以上の照射エネルギー条件では70W×1.0秒の条件を除いては非照射群と有意な差は見られなかった。しかし20W×1.0秒以下の照射エネルギー条件では有意にアポトーシス発現が高かった。4.カスペースの活性caspase活性は-3,-8,-9/6ともに10W×0.4秒で最も高く見られた。このエネルギー条件ではcaspase-3の活性が最も高く,-8の方が-9/6より活性が高かった。30W×1.0秒の照射エネルギーを境に,腫瘍壊死が起こる最低エネルギーや最短照射時間の設定ができた。 以上より、集束超音波治療には熱凝固以外の機序で抗腫瘍効果を示す可能性があることが示唆された。さらに集束超音波の抗腫瘍効果の作用機序に関して,変性凝固の他に低いエネルギー条件ではアポトーシスが殺細胞の機序となりうることが明らかとなった。またcaspaseの活性の比較から,集束超音波においてはcaspase-8を実行過程とする細胞膜誘導により活性化されたことが示唆された。
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Research Products
(4 results)