2004 Fiscal Year Annual Research Report
心理的変動が運動スキルに及ぼす影響に関す脳神経科学的研究
Project/Area Number |
16300206
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大築 立志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30093553)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 和俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30302813)
村越 隆之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60190906)
|
Keywords | 運動スキル / 心理的変動 / 運動感覚 |
Research Abstract |
スポーツをはじめとする運動のスキルでは、あがりやプレッシャーによる動作の乱れがしばしば観察される。また、経験的には、重い野球のバットを振ってから軽いバットに持ち替えると、バットが軽く感じられ、バットの操作性が向上するような感覚が得られることが知られている。本研究は、このような心理的プレッシャーや運動感覚の変化などの心理的変動が運動スキルに及ぼす影響を、バイオメカニクス的・運動神経生理学的に明らかにすることを目的としている。 初年度である本年度は、まず心理的変動の効果を見るために最適な課題動作を検索するための予備的実験を行った。負荷の等しい動作において事前に高重量、低重量の異なる負荷での動作を行うことで、動作に対する感覚や実際の筋活動や動作が実際にどのように変化するかを検討した。被験者は、ある一定の基準負荷での動作(Pre動作)を行い、次に異なる負荷(条件負荷)を用いた動作を行った後、再び基準負荷を用いて動作(Post動作)を行う課題を行なった。基準負荷を1kg、条件負荷を2kg(高負荷)もしくは0.5kg(低負荷)の2種の重力負荷とし、動作は肘関節の自由伸展による最大速度での負荷の引き上げ動作とした。その結果、条件負荷2kgでの動作を行ったHeavy課題では、被験者は、Post動作時に,Pre動作に比べ「負荷が軽くなった」、「動作が速くなった」と感じたと報告した。また、Post動作時にはPre動作に比べて主働筋である上腕三頭筋の筋活動が増加し、実際の動作速度の増加が観察された。反対に、条件負荷が0.5kgと軽い負荷での動作を経験したLight課題では、被験者はPost動作ではPre動作に比べ「負荷が重くなった」、「動作が遅くなった」と感じていたことが確認された。その時に得られた主働筋の筋活動は減少し、実際の動作速度も減少した。このように、どちらの課題においても、Pre動作とPost動作の負荷は同じ1kgであったにもかかわらず、動作に対する感覚や動作そのものに変化が見られ、それらの変化は対応していることが明らかとなった。
|