2005 Fiscal Year Annual Research Report
AMPキナーゼ系とカルシニューリン系が骨格筋の組織化学及び代謝特性に与える影響
Project/Area Number |
16300209
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 教授 (80145193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 裕史 中村学園大学, 人間発達学部, 講師 (60301678)
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Keywords | AMPキナーゼ / 持久的トレーニング / 骨格筋 / PGC-1α |
Research Abstract |
本年度は、持久的運動により活性化される骨格筋のシグナル伝達経路のうち、AMPキナーゼに特に着目し検討を行った。まず、ラットに一過性の持久的運動(20m/min,18.5%incline,45min)を行わせ、運動直後に代表的な遅筋であるヒラメ筋を摘出してAMPキナーゼリン酸化を調べたところ、AMPキナーゼ特異的活性化剤AICARの投与1時間後と同様にAMPキナーゼリン酸化が亢進していた。この強度の運動をトレーニングとして2週間毎日行わせたところ、転写補助因子PGC-1α、転写因子PPARδ、糖輸送担体GLUT-4タンパクの増加と、酸化系酵素CS、MDH、βHADなどの活性の増加が認められた。このことから、持久的トレーニングによる骨格筋の代謝特性の変化の少なくとも一部にはAMPキナーゼが関与しており、PGC-1αやPPARδの発現を高め、さらにPGC-1αがPPARδに結合して転写活性を高めることにより酸化系酵素活性の増加などにいたるのではないかと推測される。この実験は低強度運動で行い、遅筋だけの適応を観察したので、今後はより高い強度での運動を行わせ、速筋での検討を行う必要がある。つぎに、AMPキナーゼ活性化作用を有すると報告されている糖尿病改善薬メトホルミンをラットに2週間混飼投与し、ヒラメ筋、腓腹筋赤色部位、白色部位の転写補助因子PGC-1αと転写因子PPARδ発現を検討したところ、すべての筋でPGC-1αタンパクの有意な増加が観察された。われわれが本研究課題において昨年報告した、メトホルミン投与による酸化系酵素活性の亢進とあわせて考えると、メトホルミンは持久的運動と同様にAMPキナーゼ活性化とPGC-1α発現増加を介して代謝能力を高めることにより病態の改善を促進していることが示唆される。
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Research Products
(1 results)