2004 Fiscal Year Annual Research Report
バスク民族のスポーツ文化政策に関する総合的調査研究
Project/Area Number |
16300211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
竹谷 和之 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (80163400)
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Keywords | バスク民族 / エスニック・スポーツ / 文化政策 / 九柱戯 / ピロタ(ペロタ・バスカ) / 民族学校(イカシトラ) / バスクスポーツ |
Research Abstract |
平成16年度は、バスク州のアラバ県及びビスカヤ県におけるバスク民族スポーツ政策の調査・研究である。初年度にアラバ県を指定したのは、バスク州政府があり、総合的な情報収集が可能であったからである。また、ビスカヤ県にはビルバオ市というバスク最大の都市があり、調査・研究の初年度として適切と判断したからである。 行政(バスク州政府、アラバ県およびビスカヤ県)の民族スポーツ政策は、他の近代スポーツと同様スポーツ振興補助金という制度を設置し、バスクスポーツ連盟、ペロタ・バスカ連盟及び競艇連盟へ、各連盟から補助金申請があった場合のみ、補助金を交付している。さらに企業(主に銀行)からの補助金制度もある。これらは1年ごとの更新で、金額は活動内容を査定され、毎年変化する。 またアラバ県では、民族スポーツすべてを統括するアラバ・バスクスポーツ連盟に補助金交付をしているが、とくに当該地域の九柱戯(9本のピンを倒す旧式ボウリング)に力を入れており、地域振興策として、また学校体育(小学校)のプログラムとして独自の政策を実施している。 ビスカヤ県では、バスクスポーツ公園(仮称)をムンヒーア市に設置しようとしている。そこではほぼ全てのバスクスポーツがプレイ可能になり、分散していた競技施設の統合を図っている。これは地域振興策の一つで、EUの経済効果(観光)を意識した計画である。今後、ソフト面が考慮されて、公園の具体的活用法が検討される見込みである。 バスクでは、公立学校、私立学校以外に、民族学校(イカシトラ)がある。フランコ独裁時代(1939〜75)のバスク語使用禁止令からバスク文化を維持するための地下組織から始まった学校であるが、現在はバスク州で公認されており、公立・私立学校と同じ扱いを受けている。当該学校では「体育」種目として、イカシ・ピロタというペロタ・バスカ(民族球戯)が、バスク伝統の理解・普及を目的に実施され、教材や指導方法まで細分化されている。
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