2004 Fiscal Year Annual Research Report
個人・集団レベルの心理社会的学校環境が生体的ストレス反応に及ぼす影響
Project/Area Number |
16300222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 助教授 (70163186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 稔 琉球大学, 教育学部, 助教授 (70336353)
和氣 則江 琉球大学, 医学部, 助手 (90315474)
安仁屋 洋子 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90045055)
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Keywords | 児童生徒 / 学校環境 / 唾液中コルチゾール / ストレス関連ホルモン / 心理社会的特性 / 心理的ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は児童生徒の生体的ストレス反応(唾液中コルチゾール濃度)および自覚的ストレス反応に心理社会的学校環境がどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることである。本年度は沖縄県全域から選出した10公立中学校2年生1学級に在籍する生徒328名のうち保護者から承諾が得られた266名について2学期に質問紙調査および唾液採取を行った。唾液は2〜3時間目の休み時間(10〜11時)と帰りの会(16時)に専用容器(Salivette)により一斉に採取し,RIA法にて唾液中コルチゾール濃度を測定した。分析には採取前の刺激のせいで他校と明らかに値が異なった1校の生徒と外れ値を除く217名の測定値を対数変換して用いた。唾液中コルチゾール濃度は午前中の方が高く一般的な日内リズムにしたがっていた。性別,家庭の経済状況,部活動参加,通塾,成績別,健康習慣別に唾液中コルチゾール濃度を比較したところ,有意差はみられなかった。心理社会的学校環境との単相関をみたところ,午前中コルチゾール濃度と教師サポート及び過剰な期待との間に有意な弱い負の相関係数が示された。また,上記の学校と異なる23公立中学校を沖縄県全域から選出し,全学年1学級に在籍する生徒2425名を対象に自覚的ストレス反応と心理社会的学校環境に関する質問紙調査を行った。ストレス反応は抑うつ症状尺度(CES-D)と自覚症状尺度(WHO HBSC)を用いた。これらと心理社会的学校環境との単相関をみたところ,自覚症状と過剰な期待以外の相関係数はすべて有意な値を示した。相関係数の向きから,学校満足,生徒自律,教師サポート,友人サポート,両親サポート,自尊心が防御因子に,学業プレッシャーと家族ストレッサーが危険因子になることが示唆された。今後は集団レベルの心理社会的学校環境の影響を解析する予定である。次年度は小学生を対象に同様の検討を行う。
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