2004 Fiscal Year Annual Research Report
未利用天然資源の有効活用による地球環境に優しいアパレル加工製品の開発
Project/Area Number |
16300234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中島 照夫 近畿大学, 資源再生研究所, 教授 (70088201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賓 月珍 奈良女子大学, 人間文化研究科, 助手 (90343269)
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Keywords | キチン・キトサン / 抗菌防臭・制菌加工 / 抗菌力 / 生分解 / フィルムの成形加工 / 物性 / 未利用天然資源 |
Research Abstract |
多くの合成高分子材料は安定性ゆえに生態系を乱し、重大な環境破壊を招く危険性を持っている。本研究は使用時の利便性のみならず、繊維製品の製造段階からライフサイクルアセスメントを行い、不用になって廃棄された場合の自然環境に対する様々な影響を十分考慮し、未利用天然資源を再利用して物質循環系に取り込まれる製品開発をめざし、生分解及び抗菌性を有する天然高分子材料と生分解性能を有する合成高分子材料をブレンドする方法を開発し、その材料の物性や抗菌性および生分解特性に関して検討する。 平成16年度は、未利用天然資源のキチン・キトサンを用い、キチン・キトサン及びPVAの結晶性高分子にキトサンを混入した複合ゲルフィルムの成形加工法を開発した。試作したキトサンフィルムはキチンフィルムより結晶化度が高かったが、延伸が困難であった。キトサンフイルムの抗菌性は、Escherichia coliがStaphylococcus aureusよりも低かった。この傾向は中和フイルムで顕著に発現した。キトサンの抗菌性は安全性が高く、従来の抗菌剤よりもマイルドで、介護施設や医療施設面での用途拡大が十分期待できる。 土壌埋没試験による重量減少率は、赤土土壌より水田土壌が、キトサンフィルムよりキチンフィルムが高く、生分解速度が速かった。土壌から分離したSphingobacterium multivorum菌による重量減少率は、キトサンフィルムよりもキチンフィルムが高く、生分解速度が速かった。この傾向は、土壌埋没試験より顕著に発現した。また、キトサンフィルムは、フィブリルが表面から剥離していく様子が確認できた。一方、キチンフィルムは表面が溶解した様子がSEM観察できた。このことより使用済みの製品を多量に生分解できる可能性が確認できた。 次にキトサン/PVAブレンドフィルムは、PVA含有量が増すに従って最大延伸倍率が高くなり、22/78では7倍に達した。延伸フィルムの融点は未延伸フィルムより高く、延伸操作によりPVAの分子鎖が一軸方向に配向した。 PVAは一般に生分解可能な合成高分子と言われているが、2ケ月後の土壌埋没試験でも1.4%しか生分解しなかったが、キトサン/PVA(40/60)ブレンドフィルムは水田土壌で42.6%、赤土土壌で0.9%分解した。PVAは普通の水田・赤土土壌中では分解速度が極めて遅く、継続実験中である。しかし、キトサンをブレンドすると分解速度が向上した。現在、複数種の微生物機能を相乗的に発現する方法を検討している。 これらの成果は、ドイヅのマルチンルター大学で開された2004高分子材料国際会議、高分子学会、日本防菌防黴学会などで発表した。
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Research Products
(4 results)