2006 Fiscal Year Annual Research Report
天然抗酸化剤アスタキサンチンによる糖尿病合併症抑制の基礎および臨床に関する研究
Project/Area Number |
16300240
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 正舒 自治医科大学, 医学部, 教授 (40161286)
黒木 昌寿 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90215096)
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Keywords | 糖尿病 / アスタキサンチン / フラバンジェノール / 血糖値 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
これまでに、食餌性抗酸化剤アスタキサンチンによる糖尿病合併症抑制効果を研究してきた。本年度はアスタキサンチンと水溶性かつポリフェノールを豊富に含んでいる松樹皮抽出物フラバンジェノールを併用することで、糖尿病合併症抑制効果について検討した。 Wistar系ラット(雄、7週齢)28匹にSTZ(50mg/kg体重)を投与して糖尿病ラットを作成し、対照群(C群)、飼料中にアスタキサンチン100ppmを含むアスタキサンチン群(A群)、フラノ・"ンジェノール0.2%を含むフラバンジェノール群(F群)、アスタキサンチン100ppm及びプラバンジェノール0.2%を含む混合群(M群)に分け、約12週間飼育した。解剖時に血液、肝臓、腎臓、レンズを摘出し、生化学検査を行い、比較検討した。 その結果、血清、肝臓、腎臓およびレンズの過酸化脂質及び尿中8-OHdG値は、C群と比べてM群が有意に低値を示した。また、白内障の進行においては、F群とM群で特に低値を示した。さらに、血中TG濃度は、同様にM群が有意に低値を示した。これらの結果から、アスタキサンチンとプラバンジェノールの併用は、糖尿病の発症によって引き起こされる酸化ストレスや脂質代謝異常に対して改善効果を示すことが明らかとなり、糖尿病合併症を抑制するのに有用であることが示唆された。さらに、アスタキサンチンを糖尿病ラットに与えた結果、体内のトコフェロールの節約現象がみられた。現在、日本においては糖尿病が強く疑われる人は約740万人、糖尿病の可能性を否定できない人は約880万人と推定され、両者を合計すると約1620万人である。成人の6人に1人は糖尿病かその予備軍であると言われ、生活習慣病の中でも特に深刻な問題となっている。今後もその予防法と治療法の開発が大きな課題となると考えられ、本研究の成果が糖尿病の進行及び合併症の抑制につながることを期待する。 なお、本年度は自治医科大学大宮医療センターでアスタキサンチンの臨床試験を行う予定であったが、倫理委員会の審査が遅れたため、次年度に行うことにした。
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