2005 Fiscal Year Annual Research Report
e-learningにおける学力対応型学習プログラムの開発に関する実証的研究
Project/Area Number |
16300281
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Research Institution | National Institute of Multimedia Education |
Principal Investigator |
小野 博 独立行政法人メディア教育開発センター, 研究開発部, 教授 (10051848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 淳 東京大学, 大学総合教育研究センター, 講師 (00342618)
西森 年寿 独立行政法人メディア教育開発センター, 研究開発部, 助手 (90353416)
酒井 志延 千葉商科大学, ・商経学部, 教授 (30289780)
木村 松雄 青山学院大学, 文学部, 教授 (20225064)
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Keywords | 大学生の学力低下 / 基礎学力評価 / プレースメントテスト / 学力別集中学習プログラム / e-learning / 海外集中コミュニケーション学習 / 学習の動機づけと維持 / 仕事に使える英語力 |
Research Abstract |
平成17年度は10大学において英語リメディアル教育の検証実験を実施した。その方法は、大学入学時に英語能力が低くてもe-learningを用いた集中学習によって基礎英語力を習得し、その後、英語圏の大学の集中コミュニケーション学習(ESL)プログラムを通じてコミュニケーション能力を習得させる、国内と海外での集中学習を組み合わせた独特のプログラムである。対象学生は大学入学時に英検3級レベル以下の学生とした。大学では、できる限り授業時間内にプレースメントテストの結果に対応した学習プログラムによってe-learningの個別学習を実施し、年末までに英検2級マイナスA不合格(準2級の上位者)以上に学力が向上した学生をカナダの大学の実施するESLプログラムに派遣することとした。検証実験には帯広畜産大、群馬県立女子大、千葉商科大、名古屋学芸大短大、立命館大、香川大、福岡女学院短大、筑紫女学園大、佐賀大、琉球大の10大学が参加したが、学内のコンピューター室の確保、学内LANへの配信問題、単位化した授業でのe-learningの実施などについてそれぞれの大学には特有な事情があり、最後まで学習を継続できた大学は7大学であった。良好な結果が得られた学生50名の中から科研費でカナダの大学へ派遣できた学生は8名であった。また、学習開始時に英語力が高く、本研究の対象者ではないが、このESLプログラムに自費参加した学生が6名いた。平成18年2月から3月における各1ヶ月間をカナダのカルガリー大学及びリジャイナ大学において集中コミュニケーション学習を実施した。二つのESLプログラムを比較すると、(1)派遣した学生専用のプログラムかどうか、(2)カンバセーションパートナーがいたか、(3)ホストファミリーの学生への対応やコミュニケーションギャップ、などによって学生の一日の会話量には大きな差ができることが分かった。そのため効果的なコミュニケーション能力の向上には基礎学力があることは当然であるが、現地の学習プログラムについて引き受け校のESL担当者と綿密な連絡を取り、日本側の要望を説明し独立した学習プログラムを作成することが重要であることがわかった。本研究における検証結果として(1)日本でできることは日本で、(2)コンピューターが役立つことはコンピューターを利用した学力別e-learningで、(3)最後のコミュニケーション学習は英語圏の大学におけるESLプログラムで目標が達成可能であることがわかった。学生は現地で語彙力のなさを自覚しており、事前学習用の語彙学習教材の開発が望まれていることがわかった。平成18年度には学生の国内における学習経過及び海外における学習前後の英検テスト結果等を分析し、大学入学時に英語力が低くても初年次に「仕事に使える英語力」を習得するための効果的な学習プログラムを提案したい。
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Research Products
(4 results)