2006 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦期日本における戦時科学動員に関わる実証的研究
Project/Area Number |
16300286
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
河村 豊 東京工業高等専門学校, 一般教科, 教授 (10369944)
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Keywords | 戦時科学 / 科学動員 / 文部省 / 科学政策 / 学術研究会議 / 技術院 / 戦争と科学 |
Research Abstract |
3年間の資料調査活動、分析活動を通して、以下の段階に到達することができた。まず、資料調査活動については、(1)戦争後半期に東京帝国大学総長にあった内田祥三の未分析資料のマイクロフィルム化、内容分類、整理、(2)アメリカ合衆国NARA所蔵の電波技術情報に関わる資料の入手、(3)戦時中に刊行された科学技術動員関連の古書の入手(すべて私費での購入となった)、(4)その他のマイクロフィルム資料の部分的入手(美濃部洋次文書、井上匡四郎文書、石川一郎文書)、などを入手することができた。(5)資料調査活動の整理のために、文献一覧を作成した。別途刊行する報告書には一覧表を添付した(約130頁)。次に分析活動については、(1)戦時中の文部省による戦時科学政策の時代的変遷過程全体を資料的に後付けることができた。(2)文部省において科学政策を担当した人物の基本資料を利用することで、これまで不明であった戦時政策立案のプロセスをかなり明らかにすることができた。(3)文部省と企画院(技術院)との対立の具体的姿を明らかにすることで、太平洋戦争開戦前後、および開戦後に変化が存在していたことを確認できた。(4)文部省管轄下の学術研究会議の戦争後半、戦争末期における活動を、実証的にとらえること。(5)陸海軍技術運用委員会のメンバーを確認出来、活動の概略を初めて明らかにすることができた。学会報告、論文投稿については、別途刊行する『報告書』において時代別に区分した論文集としてまとめた。一方、以下のような課題が残った。(1)学術研究会議における委員700名、関係する研究者約3000名が実施した、戦時研究活動については、資料入手には成功したが、まだ分析が完了していない点。(2)軍部研究者の研究活動との比較が行われておらず、大学研究者による活動成果の評価ができなかった点。これらの課題は、新たな研究アプローチを使って、改めて分析することにしたい。
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Research Products
(1 results)