Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴丸 俊明 札幌学院大学, 人文学部, 助教授 (50188645)
加藤 博文 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60333580)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (60270401)
熊木 俊明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20282543)
高瀬 克範 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (00347254)
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Research Abstract |
平成18年度は,擦文文化,続縄文文化,大陸側比較資料に重点をおいて,試料採取と放射性炭素年代の測定を行った。資料は,北海道大学埋蔵文化財調査室所蔵の道央石狩低地帯出土資料,釧路市埋蔵文化財センター所蔵の釧路周辺遺跡出土資料,斜里町埋蔵文化財センター所蔵の知床周辺試料から,臼杵・熊木が選択して採取した。また,北海道大学北方文化論講座所蔵の道東トビニタイ文化遺跡の試料分析を,名古屋大学年代測定研究センターの協力を得て実施した。また,広域編年のための大陸側比較試料として,アムール下流域,沿海地方,モンゴルの試料を,ハバロフスク州立博物館,極東工科大学,モンゴル科学アカデミー考古学研究所からの提供を受け,続縄文時代〜アイヌ文化時代の併行期の年代測定を行った。また,この分析を通して,大陸側では海洋リザーバー効果の影響が比較的少なく,土器付着炭化物試料の利用が可能であることを確認し,今後の研究の見通しを得た。 以上の試料を坂本が、10〜1月にかけて国立歴史民俗博物館において前処理を行い、1〜2月に加速器質量分析研究所で年代測定を行い、さらにその結果を坂本が暦年代補正を行った。1月に,測定・補正の終了後、研究参加者により結果の検討と,3年間の成果による暦年代の検討を行った。植物試料においては、ほぼ想定どおりの年代を含むものの同一遺構・層位内での試料の種類の差による年代のズレなどが確認され、試料選択の課題が確認された。また,植物試料の測定年代には考古学による想定年代の範囲が含まれ,概ね両者は整合しているが,下限・上限に若干のズレがみられ,考古学的な年代に再検討を要する部分のあることが確認できた。暦年代の定点として,続縄文前期BC4-AD2世紀、続縄文文化後期AD2〜4世紀,オホーツク文化中期AD5-7世紀、同後期AD6-8世紀、擦文文化終末は13世紀こという年代が含まれることが確認でき,暦年代編年の大枠を確立することができたと考えている。また,大陸側との年代とのすり合わせは,まだ比較資料が少なく今後の課題であるが,初期鉄器時代と続縄文文化,擦文文化と初期中世の併行期文化を確認しことは重要な成果である。
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