2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市大気中のナノ粒子および元素状炭素・有機性炭素の動態解明
Project/Area Number |
16310003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
駒崎 雄一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助教授) (80286640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00225343)
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (00324369)
宮崎 雄三 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (60376655)
|
Keywords | 都市大気 / 元素状炭素 / 有機性炭素 / 動態観測 / 一酸化炭素 / 粒径分布 / 季節変化 / 二次生成 |
Research Abstract |
本研究では、ディーゼルナノ粒子の主成分であり健康影響の大きい元素状炭素(EC)と有機性炭素(OC)に着目し、それらの物理特性(粒径分布、数濃度、混合状態、揮発特性、吸湿特性)や大気中における挙動を解明することが目的として、東京都市域において通年(2003年5月-2004年10月)でECとOCの長期観測を行った。測定には従来のフィルターサンプリングを用いたEC/OC測定と比べ、高い時間分解能(1時間)と測定精度を持つ熱・光学方式による炭素分析装置を用いた。また、レーザー誘起白熱法、および大気採取口を400℃に加熱したSMPSにより、ECの粒径分布も同時に測定した。レーザー誘起白熱法およびSMPSの測定結果は、従来のEC/OC分析装置によるEC濃度との比較を行ったところ、良好な一致が認められた。観測期間中の平均的な粒径分布より、ECの質量濃度には粒径50nm以上の粒子が支配的に寄与していることがわかった。発生源強度の指標として一酸化炭素(CO)用いたΔEC/ΔCO比は午前6時頃にピーク(2-3μg/m^3)を示すなどの明瞭な日変動を示した。これは主にディーゼル車の交通量の日変動によるものと考えられる。ΔEC/ΔCO比は冬季を除いて明瞭な季節変化は見られず、気温依存性などの影響は明確には見られなかった。また、東京都でECの排出規制後1年でΔEC/ΔCO比の減少は最大で約30%であった。このように本研究において高精度での測定により得られたΔEC/ΔCO比はEC排出の長期変動を捉え、排出統計を検証する上で有用な指標となることが明らかになった。また一次放出のOC(POC)と二次生成OC(SOC)の見積もりを行った結果、SOCはOCに対し夏季に67±24%、冬季に43±19%と他の都市域と同様にOCの大部分を占めることが明らかとなった。しかしながら、SOCに明確な季節変動は認められず、約1.9±1.8(μg/m^3)で推移した。
|
Research Products
(1 results)