2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋CO_2変動の定量化技術の高度化に関する基礎的研究
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16310018
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
石井 雅男 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (70354553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 秀 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (80354554)
時枝 隆之 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究官 (90354555)
緑川 貴 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 室長 (10414517)
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Keywords | 全アルカリ度 / 六フッ化硫黄 / 化学トレーサー |
Research Abstract |
平成17年6月〜7月に実施された気象庁凌風丸の航海において、北太平洋西部の亜寒帯循環域から複数の海洋フロントを越えて黒潮続流南側の亜熱帯循環域に至る海域に位置する東経165度、北緯50度〜北緯28度の合計18の各層採水点で、水深1000mまでの各層採水を実施した。航海後に、平成16年度に製作し、動作プログラムの改良・最適化を進めてきた全アルカリ度測定装置を使用して、持ち帰った海水サンプルの全アルカリ度を分析した。この結果、開発中のアルカリ度分析装置では、サンプル量の少量化や分析時間の短縮化に改良の余地はあるものの、およそ±2μmol kg^<-1>の精度で分析できることを、実際の海水サンプルで実証できた。 北太平洋亜寒帯域から亜熱帯域のフロント域は、中央モード水の形成域であり、大気から海洋内部へのCO_2輸送の重要な経路のひとつと考えられる。しかし、これまで多く適用されてきた等密度面上の濃度の時間変化を評価する方法では、水温・塩分の年々変化の影響を受けるために、海洋内におけるCO_2増加速度をうまく評価できなかった。そこで本研究では、まず得られた全アルカリ度と硝酸塩濃度・塩分から塩分35に規格化したポテンシャルアルカリ度(potNTA)を計算した。potNTAは、有機物生産・消費に関わる生物活動や、蒸発・降水による濃縮・希釈効果を受けないパラメータと考えられるので、これをフロント域表層における亜寒帯水と亜熱帯水の水塊混合の指標として用い、その全炭酸濃度との関係を評価するとともに、1992年にアメリカの観測船によって観測された同じ海域のデータと比較した。その結果、1992年から2005年の13年間に、この海域の表層における全炭酸濃度は、大気からのCO_2吸収によって、12〜17μmol kg^<-1>増加していることが分かった。
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Research Products
(2 results)