2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16310026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡村 秀雄 Kobe University, 大学院・海事科学研究科, 教授 (90253020)
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Keywords | 防汚剤 / 水環境 / 生態系影響 / 底生生物 / 化学分析 / バイオアッセイ / 粒径分布 / 毒性 |
Research Abstract |
1.底質中における防汚剤の運命の評価 新規防汚剤Tripheny1borane-pyridine(TPBP)は底質への吸着力が強く、一旦吸着した底質から容易に溶出(脱着)しないことが示された。天然海水を用いたTPBPの生分解実験では、実験初期に濃度減少が認められ、1ヶ月間静置後には微生物の有無、明暗条件に関わらずほぼ完全分解した。TPBPを高圧水銀ランプを用いて光分解して分解産物#1を分離精製し、機器分析によりBipheny1と同定した。TPBPが海産藻類および塩水性甲殻類に対する毒性は有機スズ剤TBTC1と同等であったが、Bipheny1等の分解産物の生態毒性はいずれもTPBPより弱かった。4年間の研究成果から、TPBPは船底塗料から海水に溶出すると太陽光による光分解を受け、海水中の懸濁粒子に吸着しながら底質へ移行すると、底質の有機物量に応じて吸着・分解し、分解産物を生成する。太陽光が入射する海水中ではTPBPの環境リスクは低いと推測されたが、太陽光の入らない底質に移行したTPBPは分解産物を生成すると共に、底生生物に対して影響を及ぼす可能性が懸念された。 2.港湾部底質の毒性評価 海産発光細菌Photobacterium leiognathi SBを用いたTOX Screen II試験により港湾底質の毒性を評価した。細菌を港湾底質に直接暴露したところ、大槌湾底質15試料は5g/Lで有意な毒性を示さず、舞鶴湾底質15試料の内の4試料の毒性は比較的強かった(EC50:0.074〜2.3g/L)。これに対し大阪湾底質20試料の内の8試料は極めて強い毒性(EC50:0.010〜0.10g/L)を示した。これら毒性の強い底質試料の強熱減量は高い傾向にあった。観察された毒性と防汚剤の残留との関連に興味がもたれた。
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Research Products
(5 results)