2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境同位体を用いた干潟・湿地生態系の自然再生事業の評価手法に関する研究
Project/Area Number |
16310032
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野原 精一 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 室長 (60180767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広木 幹也 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (40142103)
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Keywords | 水循環機能 / 分解機能 / 自然再生事業 / 干潟 / 塩生湿地 / 物質循環 / 底質 / 間隙水 |
Research Abstract |
干潟では一般に、有機物含量の高い底泥では有機物の分解に伴い酸素が消費され、より還元が進行する傾向にある。しかし、盤洲干潟(千葉県木更津市)では、有機物含量の増加が必ずしも底泥の還元を伴わない場合がみられる。これらの地点の理化学性を比較した結果、塩分濃度が有機物分解活性を通じて酸化還元環境に影響することが考えられたので、野外実験および室内実験により、塩分条件と干潟底泥の有機物分解活性の関係について検討した。 野外実験では、干潟で似たような景観を持つが塩分濃度の異なる2地点において、セルロースろ紙および木綿布を一定期間、底泥に埋め込み、それらの重量の減少量からセルロース分解速度を求めた。その結果、塩分濃度(1%)の地点では塩分濃度(2%)の地点よりもセルロース分解速度は速く、また、底泥の還元も進んでいた。 干潟より採取した底泥を、塩分濃度0%、1%、2%の条件で冠水、5週間培養し、ORP、CO_2発生量、CH_4発生量、グルコシダーゼ活性、および細菌の多様性について系時的に調べた。その結果、ろ紙分解速度は塩分濃度1%で最も速く、0%がこれに次ぎ、2%が最も遅かった。この結果は、野外実験において塩分濃度の濃い(2%)地点においてセルロースの分解が遅かったことと一致する。しかし、グルコシダーゼ活性は塩分2%の条件下で培養した底泥のほうが1%の条件下で培養した底泥よりも高く、ろ紙分解速度の結果と一致しなかった。底泥中での酵素の存在状態、活性に、塩分濃度がさらに影響している可能性が考えられた。 また、底泥中の細菌群集が利用できる炭素源の解析結果から、塩分濃度によって底泥の細菌相が異なることが示唆された。
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Research Products
(2 results)