2006 Fiscal Year Annual Research Report
重イオンマイクロビームによる生殖細胞の放射線影響とバイスタンダー効果の研究
Project/Area Number |
16310033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
東谷 篤志 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (40212162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰彦 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門・バイオ応用技術研究ユニット, マイクロビーム細胞照射研究グループリーダー (50354957)
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Keywords | アポトーシス / 細胞周期 / 放射線 / G1停止 / DNA損傷 / バイスタンダー効果 |
Research Abstract |
低線量の放射線被曝による生物効果や放射線マイクロビーム照射装置の開発により、ゲノムDNAが直接的な損傷を受けない場合でも、細胞は様々な放射線の影響を感受していることが、近年、示唆されてきた。なかでもマイクロビーム照射装置の開発により、直接放射線の被曝を受けなかった周辺の細胞においても、放射線の影響を感受し、様々な生物応答に至るバイスタンダー効果が存在することが知られてきた。本研究では、主に重イオンマイクロビーム照射装置を用いて、線虫の生殖細胞形成における放射線照射の影響、特にDNA損傷の修復、アポトーシス、そしてバイスタンダー効果に関する分子機構について解明することを研究目的とする。 本年度の研究成果として、線虫に、種々の放射線を照射し、DNAマイクロアレイを用いた全ゲノム遺伝子に対する放射線応答性について解析を行った。その結果、放射線照射により発現が有意に上昇する353遺伝子を見出し、それらにはアポトーシスの誘導に関わる因子が含まれていることがわかった。また、ヒト原ガン遺伝子abl-1の線虫における欠損変異体では、放射線照射時にアポトーシスを高頻度に誘導することが報告されている。そこで、線虫abl-1の欠損変異体を用いて、同様に、放射線照射時の遺伝子発現について網羅的な解析を行った結果、これらアポトーシスの誘導因子のさらなる発現上昇が確認されるとともに、解毒作用や活性酸素の発生などに関わるcytochrome P450ファミリーの幾つかの分子で、abl-1の欠損変異体においては、発現が有意に低下する現象を確認した。今後は、これら遺伝子発現の調節機構をさらに検討していく。
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Research Products
(4 results)