2004 Fiscal Year Annual Research Report
1倍体生物で観察される突然変異の由来と2倍体生物で観察される突然変異の由来
Project/Area Number |
16310034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
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Keywords | 大腸菌 / 酵母 / tonB遺伝子 / CAN1遺伝子 / 自然突然変異 / heterozygote / LOH / ミスマッチ修復 |
Research Abstract |
1倍体生物で観察される突然変異の由来と2倍体生物で観察される突然変異の由来を明らかにするために1倍体生物として、大腸菌及びhaploid酵母を、2倍体生物の代表として、diploid酵母を対象とする実験系を先ず作成した。大腸菌の場合、tonB遺伝子を標的とする実験系は既に作ってある。我々はこのシステムに、tonB遺伝子を複製原点に対して逆向きの大腸菌を作成し、複製の方向と突然変異の生成についての考察を可能にした。次に、酵母のCAN1遺伝子を実験対象とする酵母の突然変異検出系を作成した。diploid酵母の場合、片一方のアレルのCAN1を破壊し、一方だけが活性のCAN1 heterozygoteで、CAN1の自然突然変異を調べると、1x10^<-4>の頻度で突然変異が生成した。これは、haploidのCAN1遺伝子の変異頻度(9x10^<-7>)よりも100倍高い。haploidで観察される突然変異生成の経路と、diploidでの経路とでは明らかに異なることが分かる。一般にこれは、loss of heterozygosity(LOH)と総称される現象で、組み換えが働くからである。これまでの研究と合わせて考えると、先ずDNA複製酵素がある確率で複製エラーを起こす。次に、ミスマッチ修復系が働き、生じたエラーを引き下げるように働く。ミスマッチ修復系としては、従来から知られているmutHSLのほかに、polA(Fen1)も、ミスマッチ修復系として機能する。その結果、haploidの場合でも、diploidの片一方のアレルに生じる場合も、9x10^<-7>の頻度で突然変異が生じる。この頻度よりも高い頻度で、組み換えがあり、変異アレルが機能アレルと交換する現象(LOH)のために、両方のアレルが変異となる。この頻度は1x10^<-4>であり、多くの場合は、自然に出来た染色体損傷を、健常な染色体で修復する過程で、結果として変異アレルが取り変わることに起因する。
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Research Products
(9 results)