2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンホメーション変化センシング抗体法による環境化学物質の核内受容体のリスク評価
Project/Area Number |
16310044
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
下東 康幸 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (00211293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 健 九州大学, 理学研究院, 助教授 (10301334)
下東 美樹 福岡大学, 理学部, 助手 (60078590)
|
Keywords | 環境ホルモン / 内分泌かく乱物質 / 核内受容体 / コンホメーション変化 / センシング抗体 / 受容体結合試験 / ホルモン活性 |
Research Abstract |
(1)核内受容体のcDNAクローニングとタンパク質発現のための細胞発現用プラスミドの作製 核内受容体のうち、購入可能であるものはクローンを購入し、レポーター遺伝子アッセイや培養細胞を用いた受容体結合試験で受容体を発現するための、発現コンストラクトを全48種について完成した。核内受容体はアイソフォームの報告が多く、実際にミネラルコルチコイド受容体は当初のクローニングではリガンド結合部位のわずか約137bpのみ欠如するスプライスバリアントが得られ、これにはリガンド結合が無かった。そこで、完全長のcDNAクローニングを再度行ない、実験に供出した。このように、核内受容体は一部のみ欠如する選択的スプライシングが多いので、全長にわたってシークエンス解析をすることの重要性が判明した。 (2)オーファン核内受容体の結合化学物質の探索 48種全ての核内受容体を大腸菌で発現・精製するには、発現対象がヒトの遺伝子であり大腸菌にとっては異物であるために、発現条件の設定に時間がかかる。そこで、まず培養細胞系でホ乳類の培養細胞を用いて発現し細胞が生きたまま結合試験を行なう試験系を構築した。大腸菌で発現・精製した場合と培養細胞で発現した場合で同じ結果が得られる事が判明した。現在のところ、昨年度見い出したビスフェノールA以外に新規の結合物質は見つかっていない。 (3)進化トレース法による核内受容体に対するコンホメーション変化部位探索 核内受容体48種について、新たに「進化トレース法」による解析を実施した。構造変化の定常部位と加速変異部位を識別表示された。これらのうち、核内受容体の第12αヘリックスを化学合成し、ポリクローナル抗体を作製した。11種の核内受容体について、良好な抗体力価が得られた。 (4)核内受容体の発現部位組織の解析 平成17年度に発見した「ERR系オーファン受容体のγサブライプ(ERRγ)にビスフェノールAが非常に強く結合する」ことに関連して、まずこのERRγの遺伝子を詳細に解析したところ、7種もの選択的スプライシングの報告があることが判明した。そこで、このスプライスバリアントの発現組織を明らかにするために、ヒト組織のmRNAを網羅的に購入し、それぞれのERRγスプライスバリアントの発現組織解析を行なった。その結果、脳神経系と胎盤に発現が多く、またバリアント毎に組織特異性がある事が明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)