2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフェノールAによる甲状腺ホルモンかく乱の分子機構の解明
Project/Area Number |
16310045
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
舩江 良彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00047268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 徳之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10363996)
|
Keywords | 内分泌攪乱化学物質 / ビスフェノールA / 中枢神経系 / protein disulfide isomerase / 甲状腺ホルモン / ドパミン分泌 / PC12細胞 |
Research Abstract |
ビスフェノールA(BPA)を胎児期に曝露された仔マウスに行動異常がみられ、また脳内のドパミン含量が低下していることを我々は発見してきた。その機構を解明するために、PC12細胞を用い、BPA曝露によるドパミン分泌機構を検討した。 BPAがG蛋白結合膜受容体に結合することによって、cyclic AMP/PKA経路が活性化され、つぎにPKAによりN型カルシウムチャネルおよびリアノジン受容体がリン酸化されると考えられる。N型カルシウムチャネルからカルシウムが流入すると、PKAによりリン酸化されたリアノジン感受性カルシウム小胞からcalcium induced calcium releaseが起こり、ドパミンが放出されると考えられた。 一方、BPAが中枢神経系に影響を与える可能性が示唆されたので、ラット脳P2画分を用い、BPA結合実験によりBPAの結合蛋白質の存在が明らかになった。そこで、その結合蛋白質をBPAをリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーによりラット脳より精製した結果、53KDaの蛋白質を得ることに成功した。N-末端アミノ酸配列から、この蛋白質はprotein disulfide isomerase (PDI)であると同定された。PDIが甲状腺ホルモンのリザーバーとして役割が知られているので、BPAの中枢神経系への作用は、甲状腺ホルモンをかく乱することによって起ることが初めて明らかになった。 ラットリコンビナントPDIを調製し、このPDIに甲状腺ホルモン(T3)をあらかじめ結合させ、BPA添加によりT3の結合阻害実験を行った。BPAのIC_<50>値は17.3μMであった。 ヒトPDIにおいても同等の値であった。また核内の甲状腺ホルモン受容体とT3との結合に対してBPAはなんら阻害作用を示さなかった。この結果はBPAが甲状腺ホルモンをnon-genomicにかく乱することを示している。
|
Research Products
(6 results)