2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフェノールAによる甲状腺ホルモンかく乱の分子機構の解明
Project/Area Number |
16310045
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
舩江 良彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00047268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 徳之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10363996)
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Keywords | ビスフェノールA / 甲状腺ホルモン / Protein disulfide isomerase (PDI) / PC12細胞 / チロシン水酸化酵素 / 水酸化PCB |
Research Abstract |
内分泌かく乱化学物質と考えられている環境化学物質が生殖器系に対してのみならず、中枢神経系にも影響を与え、行動異常などを誘発することが報告されているが、未だその作用機序は不明である。 我々は、ビスフェノールA(BPA)を暴露された親から生まれたマウス胎児に行動異常が見られ、また脳内のドパミン濃度が低下していることを見出した。この結果から、BPAの結合蛋白質が脳内に存在することが考えられたのでBPAのアフィニティークロマトグラフィーでラット脳からその蛋白質の精製を行ったところ、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)を得た。PDIは甲状腺ホルモン(T3)のリザーバーとして知られており、したがって、BPAは甲状腺ホルモンをかく乱することによって中枢神経系に影響を与えると考えられた。ラットおよびヒトのリコンビナントPDIを作製し、このPDIを用いた結合実験からBPAはT3とPDIの結合を阻害することが明らかになった。またノニルフェノールやオクチルフェノールのようなフェノール基を有する化合物がT3に対し、影響を与えることが示唆された。 PCBが甲状腺ホルモンをかく乱し、中枢神経系に影響を与えるがその活性な化合物は、PCBの水酸化物だと報告されている。我々が行ったリコンビナントPDIを用いたT3の結合実験でも、PCBでは、影響はみられないが、PCBの水酸化体ではT3との結合を阻害した。予備実験で、PC12細胞にBPA投与すると、ドパミン合成酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)が上昇する現象がみられたが、実験を精査した結果、THの発現上昇ではなく、THの酵素活性が上昇することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)