2005 Fiscal Year Annual Research Report
トリブチルスズを含む海底堆積汚泥中の地層処分に関する実用化研究
Project/Area Number |
16310060
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神野 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80038025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 雄治 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (70176874)
佐伯 和利 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (30284780)
善 功企 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50304754)
多田 彰秀 長崎大学, 工学部・社会開発工学科, 助教授 (90144328)
本多 克久 愛媛大学, 農学部・環境産業科学, 客員教授 (10314973)
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Keywords | トリブチルスズ(TBT) / 凝集剤 / 活性炭濾過 / 生態リスク / 高圧脱水固化 / 剥層浚渫 / ダイオキシン分解 / TBT分解 |
Research Abstract |
神野は各処理材の阻止率を用いて処理濃度と処理材にかかるコストを評価するプログラムによって処理量・処理時間が与えられるときTBT処理目標濃度が達成可能で最適と考えられる処理システムのパラメータ(処理装置断面積,シート・砂・活性炭の必要量),コストを算出できた。また,実証実験の結果、固液分離後のおよそ1,200〜1,450ng/Lが上記一連の水処理によって3ng/L程度まで除去されることが可能であることを確認した。 大嶋は海産カイアシ類ハルパクチクス目Tigriopus Japonicusを用い16日間のtributyltin(TBT)暴露試験を行いて、本種を用いた試験法の実用性を検討し、化学物質の海産動物プランクトンの繁殖への影響を評価する手法の確立を目的とした。結果、16日間という比較的短い期間でT.japonicusを用いた繁殖試験を行うことができた。この試験法はノープリウスからコペポダイト、そして成体という化学物質に対して異なる耐性を持つライフステージ全体に対する影響や、性決定、繁殖など次世代への影響が短い期間で観察できる優れた試験法となりうることが示唆された。 佐伯は堆積物中の状態変化の挙動について基礎的知見を得るため、光条件を、太陽光・紫外線照射・ダークコントロールの3つに設定し、堆積物中BTsの光分解の可能性を見た。また、風乾状態・水分飽和状態の堆積物中BTs濃度変化を調べ、堆積物の水分状態によるBTs分解への影響、熱処理を加えることによる堆積物中BTs分解への影響を検討した。堆積物の脱水・天日乾燥処理は、若干のTBT分解を促す可能性が期待できるが、堆積物粒子が飛散しやすくなるなど不安定になるため、処理の際には周辺環境への影響を十分に考慮する必要があるとされた。 善は固化材混合ならびに高圧脱水による処理の付加価値を高めるため、重金属、トリブチルスズ化合物(TBT)、トリフェニル化合物(TPT)の溶出抑止効果について検討を行った。固化処理土のTBTとTPTの溶出は、pHの影響を受け、中性域に近づくにつれ低減する。従ってTBTとTPTの溶出抑制では、強度面を考慮すると低アルカリ型固化材の使用が有効であると考察された。 多田は剥層浚渫装置の開発に試み、現地実証実験において除去底質面積700〜800m^2を浚渫した。 本田は実証実験で分離された汚染泥土に対し、無害化処理・同水溶物処理の研究・工法提案実施を行い、底質に対して5重量%の薬剤を添加することで、底質中のダイオキシン類を約20%低減することができた。また、有機スズ化合物についても、TBTを約30%、TPTを約40%低減することができた。薬剤の添加量を上回る分解率を得ることができた。 実施実験の結果、実際のプラント設置時には、処理水量、処理目標値、施設配置用地、処理コスト、管理技術などのシステム計画を適正に行うためのモデルを構築すれば現地での処理が十分可能であることが推察される。
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Research Products
(6 results)