2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化触媒反応による難分解性有機塩素化合物の無害化促進に寄与する腐植物質の機能解明
Project/Area Number |
16310064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
福嶋 正巳 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (40344113)
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Keywords | 鉄ポルフィリン触媒 / 腐植物質 / 有機塩素化合物 / 酸化反応 / 自己分解 / 錯形成 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
鉄ポルフィリン酸化触媒系で低腐植化度の腐植酸(HAs)を加えると、ペンタクロロフェノール(PCP)の分解促進がみられた。そのような促進効果の解明を目的とし、HAs中のポリサッカロイド部位のモデルとしてシクロデキストリン(CDs)を用いその影響も評価したが、β-CDやヒドロキシプロピル-β-CD(HP-β-CD)などのCDsではHAsと同様なPCPの分解促進効果が見られた。まず、鉄ポルフィリン触媒の活性低下の原因として触媒の自己分解が考えられる。そこで、鉄ポルフィリン触媒の自己分解速度に及ぼすHAsとCDsの添加効果について検討を行った。測定した擬一次速度定数(s-1)は以下のようになった:none,0.16;α-CD,0.14;β-CD,0.048;γ-CD,0.13;HP-α-CD,0.15;HP-β-CD,0.004;HP-γ-CD,0.11;CM-β-CD and SO_4-β-CD,0.24;新篠津泥炭HA(SHA),0.066;美唄泥炭HA(BHA),0.057。最もPCPの分解促進に寄与したHP-β-CDの添加が触媒の自己分解抑制に有効であり、比較的効果の大きかったβ-CDやHAsでも何も加えない場合に比べ一桁低くなり自己分解の抑制効果を示した。このようなHAsやCDsの添加による触媒の安定化には、触媒とHAsまたはCDsとの錯形成が関与すると考えた。そこで、触媒とHAsあるいはCDsとの錯形成反応について分光学的解析を行った。鉄ポルフィリン錯体のソーレー帯の吸収に及ぼすHAsまたはCDsの影響を調べた結果、吸光度はHAsまたはCDsの濃度に伴い減少する傾向を示した。この結果は文献からHAsあるいはCDsと鉄ポルフィリン触媒との錯形成に起因すると考えられる。そこで、HAあるいはCDと鉄ポルフィリン錯体とのの1:1の錯形成を仮定し、条件生成定数を評価した。その結果、生成定数の大きなものほどPCPの分解促進効果が大きく、そして、触媒の自己分解速度定数も小さくなることが明らかになった。ゆえに、HAsあるいはCDsの効果は、触媒との錯形成による触媒の安定化とそれによる触媒の自己分解抑制に起因することと考えた。
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Research Products
(4 results)