2004 Fiscal Year Annual Research Report
STMプローブ誘起ラマン分光装置の開発とナノ物質の分子レベルでの局所構造評価
Project/Area Number |
16310065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西尾 悟 立命館大学, 理工学部, 教授 (40252340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
KUDRYASHOV Igor 東京インスツルメンツ, システム開発課, 次長
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面増強ラマン分光 / 一次元グラファイト / ナノ微粒子 / アブレーション / 原子間力顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / ポリペリナフタレン |
Research Abstract |
本年度は個々のナノ微粒子の構造評価を行うため走査プローブ顕微鏡の探針直下での表面増強ラマン効果に着目し,原子間力顕微鏡(AFM)の探針を用いた表面増強ラマン分光装置(SERS/AFM)により,単一ナノ微粒子のラマンスペクトル測定を試みた.測定対象ナノ微粒子はペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)粉末にCo微粒子を混合した試料(PTCDA-Co)をターゲットとして10^<-5> Torr程度に排気されたチャンバー内でNd:YAGレーザーの3倍波を0.5Jcm^<-2> pulse^<-1>で30ショット照射してアブレーションさせ,飛散物質をガラス基板上に堆積させることにより得た.個々のナノ微粒子構造を詳しく調べる為,粒子径約70nmのナノ微粒子に対してSERS/AFMによる観察を行った.SERS/AFM測定では顕微ラマン分光測定に比べて,見かけ上4倍程度のラマンピークの強度増加が認められた.増幅率は少なくとも100倍以上と見積もられた.得られたラマンスペクトルは通常測定によるスペクトルと同様,1290,1360および1600cm^<-1>に明瞭なピークが確認できた.これより,今回対象とした微粒子はポリペリナフタレン(PPN)と呼ばれる一次元グラファイト構造を基本骨格とするものであることが示された.以上,本研究により個々のナノ微粒子の構造評価が可能であることが分かった.現在,更なる高感度測定のためにAFMチップ先端の形状およびコーティング金属の厚さの最適化を行いつつ、様々な条件で作製したナノ微粒子に対してトポグラフモードおよび1290cm^<-1>をモニターとしたラマンモードの同時測定によるマッピングを試みている. さらに本来の目的である走査トンネル顕微鏡(STM)探針による表面増強ラマン分光装置の設計および作製を行い,2005年2月に代表研究者である西尾の研究室に導入した.
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