2006 Fiscal Year Annual Research Report
STMプローブ誘起ラマン分光装置の開発とナノ物質の分子レベルでの局所構造評価
Project/Area Number |
16310065
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 表面増強ラマン分光 / ビチオフェン / グレーティング構造 / 導電性高分子 |
Research Abstract |
導電性高分子であるポリチオフェンからなるグレーティング構造体をレーザー光照射により作製し、走査型プローブ顕微鏡を用いた表面増強ラマン分光法を用いて構造評価を行った。5,5'-ジブロモ-2,2'-ビチオフェン(DBBT)を大気中ホットプレートを用いて180℃に加熱し,ITOガラス基板上で融液とした.DBBT融液にパルスNd:YAGレーザーの三倍波(355nm,10Hz)を,格子の幅2μm,間隔3μmのスリットを通して照射した.C-Br結合切断に始まる光重合により,ポリチオフェンからなるグレーティング構造を得た.ポリチオフェンの生成は,FT-IR,ラマンおよびUVスペクトル測定により確認した.最適条件ではグレーティング構造におけるポリチオフェン格子の線幅は約2μm,間隔は約3μm,高さは平均200nm程度であった.この構造物について,走査型トンネルプローブを用いた表面増強ラマン分光法を用いてSERSスペクトルを測定した.チオフェン環の伸縮に帰属される1400-1550cm^<-1>の平均シグナル強度について10x10点のSERSマッピングを行った.このマッピング画像から,STM/SERS測定によりグレーティング構造を明瞭に確認できた.導電性のITOガラス基板はSTM観察上無視できない電気的な凹凸が存在するためSTM単独ではきれいな画像を得ることができないが,STM/SERS測定はそのような基板上においても構造物を調べるのに有効であることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)