2006 Fiscal Year Annual Research Report
多光子吸収による窒化物半導体の3次元ナノスケールイメージング
Project/Area Number |
16310076
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (00313106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 智 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10221722)
荒川 泰彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30134638)
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Keywords | 窒化物半導体 / 非線形分光 / 励起子 / 四光波混合分光 / 二光子吸収 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
本研究では窒化物半導体(GaN)を対象とし、非線形光学遷移を利用した3次元ナノスケールイメージングの開発を進めてきた。これまでに1)多光子吸収を利用した3次元イメージング、2)これによるGaN不純物準位の起源の考察を行い、加えて3)ワイドギャップ固有の励起子非線形性を利用した新しい物性計測手法の開発を行なった。前年度までの成果は学会発表9件(国際会議6件、国内3件)、論文7件(査読有)にまとめた。最終年度は、これらの成果をもとにGaNに対する高機能物性評価の確立を目指して研究を遂行した。主要な成果として、1)多光子吸収と四光波混合を利用したGaN基板の結晶解析、2)開発した計測手法の分解能の見積もり、3)欠陥との相関の明確化を行なった。以下にその成果をまとめる。 超短パルスを用いたポンププローブ分光では、欠陥準位を介した多光子吸収を観測することができる。また同一の測定系を使った電子-正孔対(励起子)の分極回折格子を利用すると、三次の非線形効果により汎用光学評価法と比べて累乗倍の異方性増強が実現される。そのため結晶に内在する不純物や欠陥にもとづく歪の高感度測定が可能となる。複数のGaN試料を用いて装置の性能評価を実施し、分裂エネルギーと強度比から算出される歪と応力を見積もった結果、X線解析装置と同等の歪解析能力を達成していることを明らかにした。また同一試料表面で空間分解計測を実施し、欠陥をFIB加工により意図的に配置した試料において、偏光特性強度比が10^<-3>のオーダーで変化することを明らかにした。この結果は空間的に異なる歪の存在を示唆しており、試作装置が面内に対する空間分解能力を有することを意味する。多光子吸収や時間分解による位相緩和との相関から、高機能な物性評価としての展開が期待できる。
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Research Products
(7 results)