2004 Fiscal Year Annual Research Report
原子分解能でモータータンパク質1分子の運動を測定する
Project/Area Number |
16310082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (90165093)
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Keywords | キネシン / モータータンパク質 / 1分子 / 原子分解能 |
Research Abstract |
我々はこれまでに,生体分子モーター1分子の挙動を分析するために,モータータンパク質1分子を直径^-200nmのポリスチレンビーズに結合しレーザートラップを行った.このビーズのレーザー斜光照明像の位置をもとにタンパク質の運動を約2nm,0.1ms分解能で計測してきた.この方法においての,タンパク質に比べて巨大なビーズを用いるために生じる問題点は,(1)モーター分子の運動の初期には運動がビーズの回転に"吸収"されてしまい並進運動が起こらないために,運動の初期を高分解能で計測できないこと,(2)水の粘性のために高時間分解能が得られないこと,であった.その問題を回避するために,小さな粒子でnm, ms分解能で変位を計測できるシステムの開発を行った.今回用いたのは直径98nmのポリスチレン微粒子,80nmの金微粒子と96nmのCdS微粒子である.水中のこれら微粒子を赤レーザーで斜光照明し,散乱された光のみを開口数0.4の100倍の対物レンズに入れ,得られた散乱光の像の重心を4分割センサーにて計測を行った.像の明るさは直径220nmのポリスチレンビーズに対して,98hmポリスチレン微粒子で6%,80nm金微粒子で20%,96nmCdS微粒子で70%であった.スライドガラスに固定した金・CdS微粒子の位置は2nm,0.1ms分解能で測定できた.さらに,微粒子を1064nmレーザーにて光捕捉し,位置を操作することもできた.今回の系をモータータンパク質等の運動解析に利用すれば,回転による並進運動の阻害距離が短くなると同時に,水と粒子との粘性抵抗が小さくなるので時間分解能も向上すると期待される.
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Research Products
(5 results)