2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面制御材料の構築による分子認識バイオチップの創製に関する研究
Project/Area Number |
16310084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高井 まどか 東京大学, 大学院工学系研究科, 講師 (40287975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 一彦 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | 生体分子認識 / ナノ流路 / バイオチップ / 表面電位 / 生体適合性ポリマー / 微細加工プロセス / 界面電気化学 / DNA |
Research Abstract |
昨年度までに、石英などのガラス基板を用い、ナノ流路をもつ分子認識バイオチップのプロセス技術の確立を行った。またバイオ分子と材料界面の相互作用を評価することを目的として、種々のリン脂質系の生体適合性バイオマテリアルの新規合成を行い、細胞やたんぱく質の吸着特性の評価を行った。本年度は、昨年度のプロセス技術を駆使して石英基板にナノ流路を形成し、キャピラリーゾーン電気泳動法(CZE)によるDNA分離をマイクロチップで行うことを試みた。電気浸透流の制御は、DNAがナノ流路内壁へ付着することを抑制し、かつ様々な表面電位をもつリン脂質ポリマーを新規合成することにより行った。基本としたポリマーは、poly[2-methacryloxyethyl phosphorylcholine(MPC)-co-3-metacryloxypropyltrietoxysilane(MPTES)](PMSi,MPC 90 mol%)であり、+25mV〜-25mVのζ電位を有する種々のリン脂質ポリマーの合成に成功した。DNAの検出に関しては、ナノ流路を流れる電流による電気化学的検出を試みた。電気化学検出は、蛍光検出と比較し、蛍光ラベルが必要ない検出方法である。そのため、DNAや、タンパク質といった生体分子の蛍光ラベル化による構造変化を引き起こすことなく検出できるという利点をもつ。ナノ流路を流れるDNAの速度、および分離能は、電気浸透流と電気泳動により制御される。そのため、界面ζ電位、および印加電圧をパラメータとして、電気化学検出が可能であるかを検討した。また同時にマイクロチップの再現性および繰り返し測定についても検討を行った結果、石英基板に化学的に修飾させたPMSiが、CZEで再現性のあるDNA分離が可能となり、石英基盤とポリマーとの界面制御が、再現性、繰り返し測定の安定性に大きく寄与していることがわかった。さらに、ナノ空間で使用するポリマーにおいては、分子量の乱れの少ない特性が重要な制御因子であることがわかった。そのため、ナノ流路の流路内壁から直接ポリマーをグラフトさせる高精密合成の手法を探り、光グラフト重合により流路内へのポリマー修飾が可能であることを示した。
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