2006 Fiscal Year Annual Research Report
π電子系ナノロッドの創製と単一分子発光ダイオードへの展開
Project/Area Number |
16310098
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
村田 英幸 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (10345663)
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Keywords | ポリアゾメチン / 化学修飾シリコン基板 / 蒸着重合 / 高分子EL素子 |
Research Abstract |
本研究ではπ共役系高分子をエピタキシャル的に気相重合することによって、化学的純度や秩序構造を極限まで高めた新規な共役系高分子の開発を行っている。昨年度にはポリアゾメチンを用いて高分子EL素子を作成したところ、ポリアゾメチン自身からのEL発光を始めて観測することができた。今年度は、ポリアゾメチンを用いた電界発光素子の高性能化を行うために(1)ポリアゾメチン薄膜の作成条件の最適化(2)ポリアゾメチン薄膜の蛍光量子収率の評価(3)ポリアゾメチン薄膜の電気物性測定とそれに基づくデバイス構造の最適化を行った。その結果、以下の成果が得られた。 芳香族ジアミン(DAT)と芳香族ジアルデヒド(BFSB)の蒸着重合法によってポリアゾメチンを作製する際、基板温度、これら二つのモノマーの蒸着比を変化させて作製を行った。その結果基板温度120℃ではBFSBに対して1.5当量のDATを蒸着した場合に最も反応率が高いことが分かった。得られたポリアゾメチン薄膜の蛍光量子収率を積分球によって測定したところ2%の蛍光量子収率が得られた。この値は、これまで報告されているポリアゾメチン薄膜の蛍光量子収率に比べて10倍以上高い値であった。ポリアゾメチンを用いたEL素子の効率を向上させるために各種の素子構造を検討した。その結果、p型の特性を示す高分子として知られるPEDOT : PSSとポリアゾメチンを積層した素子において高い効率が得られることが分かった。この事はポリアゾメチンがn型の電子伝導性を有していることを示唆するものである。p型性を有する共役系高分子は多く知られているがn型特性を有する共役系高分子は種類が少ない。ポリアゾメチンは新しいn型共役系高分子として期待される。さらに溶媒を用いない蒸着重合法では低分子蒸着膜とのプロセス上の整合性が高く低分子と高分子を複合した有機EL素子への展開が期待できる。
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Research Products
(2 results)