2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間を利用した特異的物質捕集機能の解明と微小センシングシステムへの応用
Project/Area Number |
16310102
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
内田 達也 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (30261548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (70287457)
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60318194)
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Keywords | メソポーラス / ナノ細孔 / 化学センサ / アルミニウム / 蛍光 / 水晶振動子 / 界面 / 簡易定量 |
Research Abstract |
ナノチャンネル薄膜はナノメートルオーダーの均一な細孔構造を有するシリカ薄膜であり、3次元的に集積されたナノ界面による広大な比表面積を有している。また、個々の細孔内には鋳型である界面活性剤ミセルが内包されている。本研究課題では,ナノチャンネル薄膜を有機溶媒に代わる分子認識空間・分子捕集場として利用し,これまでの分析デバイスとは一線を画した高感度かつ高選択的な化学センサを構築した。 薄膜のX線構造解析を行い、構造再現性の高い薄膜作製方法について検討した。その結果、薄膜の構造はシリカ前駆体溶液のエージングに伴い、ヘキサゴナルからキュービックを経てワームライク構造に変化し、定常状態となることがわかった。センサの構築には、前駆体溶液の経時変化がほぼ無視でき、薄膜内での物質拡散に有利と考えられるワームライク構造の薄膜を用いることとした。また、この薄膜のFTIR-RASスペクトルから、薄膜の化学環境を評価したところ、水分子と水素結合したシラノール基を有する細孔壁が、CTABのミセル周囲を取り囲んだ構造をしていることが示された。そこで、発光性キレートである8-キノリノールスルホン酸をCTABミセルの最外郭と細孔壁から構成されるイオン性界面領域に内包させ、水溶液中のアルミニウムイオンを蛍光法で検出することに成功した。さらに、妨害金属イオンに対するマスキング剤を細孔内に共存させることで、アルミニウムイオンの高選択的検出を可能とした。このセンサを用いて河川水中数μMレベルのアルミニウム濃度を定量したところ、ICP-AESと同様の定量値を得ることに成功した。これにより,本センサを用いることで,測定者は前処理,濃縮,マスキング剤の添加といった溶液調製を一切せずに環境試料中の物質濃度を計測可能であることを実証した。本研究で示したセンサの検出原理は,環境試料のみならずヒト血清や血液中化学物質の迅速定量に応用可能である。
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