Research Abstract |
技能の分析・伝承のために,研究対象を技能分析手法,技能評価手法,技能訓練手法の三要素に区分している.本年度取り組んだそれぞれについての研究実績をまとめる. 1.技能分析手法 技能分析手法の目的は,技能者の状況判断基準をモデル化するために,手先の動作,力覚,触覚や他の五官で得ている情報を測定することである.これらを実現するために,手のひらの圧力分布を測定する装置の導入と三次元位置を測定する装置の開発を行った.圧力分布測定装置により,技能者と未熟練者の旋盤作業におけるハンドル操作時の両手の圧力分布を測定した.三次元位置測定装置はワイヤーを用いた空間位置センサーであり,道具の先端と後端に三本のワイヤーを取り付け,長さの変化により位置を取得する. 2.技能評価手法 技能評価手法の目的は,計測された技能者の作業と未熟練者,ロボットによる作業を比較することにより,動作,力覚,触覚に関する分析結果の有効性を評価することである,旋盤作業のハンドル操作における両手にかかる圧力を,熟練者と未熟練者で比較することを行った. 3.技能訓練手法 技能訓練手法の目的は、口伝,観察のみでは長期間かかる技能の伝承について,未熟練者が技能者の動作を体験することにより短期間で訓練を行うことである,7自由度を有するロボットを導入し,その先端に工具を取り付けることにより動作を再現する装置を開発した.本装置の導入により,人間の普通作業域と呼ばれる肩を中心とした500ミリメートル以上の訓練が可能となった.そして,既に保有していた三次元磁気センサにより工具の動作を測定し,その工具の動作を再現する一連の流れを確立することができた.
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