2005 Fiscal Year Annual Research Report
金融・契約技術とガバナンス・マネジメントに関するシステム科学的研究
Project/Area Number |
16310118
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高森 寛 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30082671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 悠紀雄 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90008649)
蟻川 靖浩 早稲田大学, 商学学術院, 助教授 (90308156)
加藤 敦 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00329963)
辻村 元男 瀧谷大学, 経済学部, 助教授 (40335328)
中里 宗敬 青山学院大学, 大学院国際マネジメント研究科, 教授 (90207754)
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Keywords | リアルオプション / エージェンシー / 経営戦略 / 価値創造 / 最適投資の理論 / モラル・ハザード / リスク分析 / ゲームの理論 |
Research Abstract |
わが国の経済・産業は、戦後、奇跡的な成長を続けた後、1990年代にその勢いを失速し、バブル崩壊とともに、失われた10年を経験した。本研究は、2005年度は、まず、わが国の産業が、戦後五十余年にみた経験を、分析し、産業の新生とガバナンスの再構築へむけて、新しい有望なパラダイムを特定することに焦点をあてた。 ある時代に有効な経営指針や統治形態等に係わる行動原理は、その時代特有の経済、文化の環境において有効なのであり、時代と環境の変化により、神通力を失ったことを検証した。それら古いモデルの罠から脱却するために、グローバルな枠組みでの産業再生を駆動するパラダイムを探求した。成果として、次のような原理とモデルが、産業が活力を回復する鍵となることを特定した。 これまでの日本型低収益戦略から脱皮して、市場経済の原点である自己(株主)資本の生産性を重視した経営へと転ずることが重要である。 戦後の間接金融中心の資本調達と経営主導は、リスク回避型で低収益を許容する投資戦略に陥りやすい。リスク資本が経営を主導する企業ガバナンスを確立することで、わが国産業は、活力ある価値創造へと転換できる。 終身雇用などの慣行で、忠誠とインセンティブを引き出してきた日本型経営は、ガバナンスとインセンティブ確保の課題に直面しつつある。環境の変化に適合したかたちで、新しいインセンティブ契約の諸関係を打ち立てるべきである。 伝統的な投資理論に対比して、リアルオプションの枠組みは、不透明な未来に向かっての投資戦略に、新しい価値認識と、行動指針をもたらす。 リアルオプションは、新しいガバナンスと価値創造戦略に、有用なパラダイムとなりうる。 以上の実績は、下記の出版物に報告されている。 高森寛・井手正介編著「金融・契約技術・エージェンシーと経営戦略」東洋経済新報社、2006年2月
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Research Products
(3 results)